あなたは普段、何を意識して食品を選んでいるだろうか。価格、味、鮮度、見た目、話題性といったところが、食品選びの一般的な判断基準と思われる。一方、「添加物」の種類まで意識する人は少数派ではないだろうか。食品添加物が身体に悪影響を及ぼすことは漠然と知っているものの、目に見える影響を感じないため、深く考えずに摂取している......という人がほとんどだろう。
添加物に対する意識の低い評者だが、吸い寄せられるように手に取ったのが本書『OK食品 NG食品 どちらを食べますか?』(WAVE出版)。「スーパー、コンビニ、デパ地下、生協...買ってはいけない『不安食品』がわかる」と謳い、よく見かける商品名と写真がズラリと並ぶ。
著者の渡辺雄二さんは1954年生まれ、栃木県出身。千葉大学工学部合成化学科卒業。消費生活問題紙の記者を経て、82年にフリーの科学ジャーナリストとなる。食品・環境・医療・バイオテクノロジーなどの諸問題を消費者の視点で提起し続け、雑誌や新聞に精力的に執筆している。とりわけ食品添加物、合成洗剤、遺伝子組み換え食品に造詣が深く、全国各地で講演を行う。ミリオンセラーとなった『買ってはいけない』(共著、金曜日)など著書多数。
本書は、具体的な商品名と写真を掲載し、90ジャンルの食品を3種類ずつ(計270食品)〇△×判定し、使用されている添加物の危険性を徹底解説している。
・〇......OK食品。添加物が使われていない食品。または、安全性の高い添加物が1~3品目程度使われている食品。
・△......NGとOKの中間の食品。危険性が高い添加物は使われていないが、添加物が複数使われている食品。または、一括名表示の添加物(酸味料、調味料、pH調整剤、膨張剤など)が使われている食品。
・×......NG食品。発がん性またはその疑いがあるなど、危険性の高い添加物を含む食品。または、あまりにも多くの添加物が使われているため、胃や腸などに悪影響をおよぼすと考えられる食品。
本書は「定番の人気食品」「便利な加工食品」「有名な主食系食品」「必須の調味料」「おいしいお菓子」「よく買う飲みもの」「添加物の基礎知識」の7章で構成され、「合成甘味料が『人体汚染』を引き起こす」「『大腸がん』『胃がん』と、添加物の密接な関係」「セブン-イレブンのおにぎりがおいしい理由とは?」などの5つのコラム、危険性の高い添加物一覧も収録されている。本書を片手に買い物に出かけたくなるほど、食品選びの頼もしいガイド本だ。
「はじめに」で「添加物」の基礎知識がわかりやすく書かれている。
・食品は2種類の原材料――「食品原料」と「食品添加物」で製造されている。
・「食品原料」(米、大豆、小麦粉、野菜類、果物類、砂糖、塩、しょうゆなど)は、安全と判断されたもの。
・「食品添加物」は、使用を許可した厚生労働省は「安全性に問題はない」と言っているが、添加物の安全性はすべて動物実験で調べられているだけ。
・動物実験で一定の毒性が認められたにもかかわらず、添加物として使用が認められているものが少なくない。
消費者の立場からすると、売られている食品はすべて安全だと信じてしまいがち。ところが、「食品を製造・販売する企業は、消費者の健康よりも、利益を上げることを優先させている」「添加物を規制する立場の厚生労働省は、業者寄りの行政をおこなっているため、それらの使用を平気で認めている傾向にある」というから、食品に対する信頼が根本から揺らぐ。
渡辺さんは「消費者としては、自分の、そして家族の健康や生命を守るために、防衛策を取っていかなければなりません」「発がん性やその疑いがあったり、肝臓や腎臓などにダメージを与えたり、免疫力を低下させるなどの危険性の高い添加物を拒否することです」と注意を促している。
コンビニのおにぎりは美味しいけど身体に悪いイメージを持っていたが、セブン-イレブンは、プライベートブランドの150品目について、保存料と合成着色料の使用をやめ、さらに添加物を少なくする努力をしているという。他のコンビニも足並みをそろえつつあるというが、こうした企業の取り組みは消費者にとって大変ありがたい。
最後に、ダイエット食品・飲料に使われているゼロカロリーの合成甘味料が「人体汚染」を起こしているという話はショックだった。美味しくてゼロカロリーという誘惑に負けて積極的に摂取していた。消費者として大切なことは、広告の文句に乗せられず、身体に良い食品を選別する目を持つことと知った。
関連で本欄では『えっ! そうなの?! 私たちを包み込む化学物質』(コロナ社)、『はじめての減塩』 (幻冬舎新書)、『一汁三菜で毎日低糖質ごはん』(宝島社)なども紹介している。
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