テレビや週刊誌で相変わらず健康情報が人気だ。病気になってからでは遅い。医食同源。病気にならない健康な体づくりこそが大事だ。そのために食事に気を配ろう――本書『一汁三菜で毎日低糖質ごはん』(宝島社)はそうした趣旨の本だ。類書は多いが、なかなかよくできているように思う。
鶏のきなこ衣唐揚げ、鰯の緑茶煮、キャベツとセロリの山椒サラダ、緑野菜のクリームチーズ和えなど、おいしくてカラダが喜ぶ98品目のメニューが紹介されている。
タイトルにもあるように、まず「低糖質」に気を配っている。糖質は摂りすぎるとよくないということが知られている。肥満につながるし、糖尿病を招く。本書は毎食の糖質のめどを40グラム以下に抑えるようにしている。お米やイモ類も入っての数字だ。
加えて塩分にも神経を使う。こちらは毎食2.5グラム以下を心がける。こちらも摂りすぎは高血圧などにつながる。
一般に、子どもが好きなおいしい食べ物は糖質や塩分が多い。ラーメンはその典型。フライドポテトや唐揚げ、ジュース類なども危険食品だ。外食やコンビニ食品には、そういう「おいしい」誘惑があふれている。実際に自分で料理してみると分かるのだが、糖質や塩分の抑制はなかなか難しい。誘惑の多い食品に翻弄され、舌が過剰な甘みなどに慣れてしまっているからだ。
本書のモットーは「ゆるやかに続けたい家族思いのやさしい和食レシピ」。どうすれば「低糖質」「減塩」が可能か、具体的なレシピをもとに教えてくれる。
著者の「ミチル」さんは富山県在住。夫と小学生の息子と娘、犬、猫2匹、フクロウ2羽と暮らしているワーキングマザー。インタグラムでレシピを公開して人気になり、フォロワーが10万人もいるという。
「一汁三菜」というのがウリになっている。これ以上の品数になると、作るのが大変だし、以下だと寂しい。これなら私にも出来そうと思わせるところがツボだ。
しかし、本書を読んでみると、下ごしらえなどに手が込んでいる。たとえば、塩鮭は「3%の塩水に生鮭を一晩漬ける」。それによって市販の塩鮭よりは塩分が控えめで甘みも広がる、と書いている。その作業自体が億劫な人も多いに違いない。逆に言えば、そうした昔ながらの「ひと手間」の作法が随所にあるので、ある種の「おばあちゃんの知恵」のようなものを再確認できる良さも備えている。
「ワンプレート」の料理が多いのも心強い。「リメイクしやすい万能レシピ」も助かる。本書で一番感心したのは「うつわ」だ。味噌汁を「まげわっぱ」に注ぐだけで味わい深い香りが漂ってくる。「ミチルさんのお気に入りの食器セレクション」がまとめられているので、そこは必読。こうしたこだわりがあるからこそ、レシピにも一工夫がなされているということがよくわかる。ご家族だけでなく、その一員、ペットの犬や猫、フクロウ君も、いい育ての親を持ったと感謝しているに違いない。
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