BS放送を見ていたら、「ヒロシです」のフレーズで一世を風靡した芸人のヒロシさんが、一人でキャンプをしていた。最近テレビにあまり登場しないと思っていたら、いまやソロキャンプ(一人キャンプ)の達人として有名なユーチューバ―だという。
本書『働き方1.9 君も好きなことだけして生きていける』(講談社)は、ヒロシさんがどうやって復活したのかを告白した自伝的内容とともに、ユーチューバ―として成功する秘訣を紹介した異色のビジネス本だ。
ヒロシさんがあのネタでブレークしたのは2004年。最盛期には月4000万円の収入があったが、トーク力やリアクションを返す能力がないため、しだいに登場回数は減ったという。マンションから飛び降り自殺を図る直前まで追い詰められ、「パニック障害」と診断された。ブラックマヨネーズやスピードワゴンと芸歴は同じというと、あまりに活躍の場が少なかったかわかる。
本人自身、「僕は芸人じゃなく『ヒロシです』職人だった」という一章を設け、反省している。そして、武器ひとつで競争の激しいメジャー市場は目指さないこと、と教訓を述べている。これはいま流行のビジネス用語で言えば、レッドオーシャンではなくブルーオーシャンを目指せということだろう。
ヒロシさんがユーチューブに初めて投稿したのは15年3月のこと。ソロキャンプをする仲間との酒の肴にするためだった。最初に振り込まれたのは数百円だったが、閲覧されることがそのまま収入に反映されることに喜びを感じた。
すると動画を見たアウトドアメーカーからソロキャンプ用グッズのイメージキャラクターになる話が飛び込んできた。ここから「営業する暇があったら発信しよう」と呼びかける。
第2章では「人生100年時代の成功法則」として、以下の行動を勧めている。
・ラクして好きなこと・やりたいことをやろう ・無言実行。誰にもいわずにこっそり始めれば、実行へのハードルが一気に下がる ・二番煎じも気にしない。パクリだって成功できる。 ・複数のタネを蒔けば、花が咲く確率も高くなる
ユーチューブを始めて3年でチャンネル登録者は25万人を超えた。さらに去年(2018年)7月から、BS-TBSで「ヒロシのぼっちキャンプ」という番組を持つようになった。大手芸能プロダクションの所属をやめ、自分で会社を作り、マネージャーと2人で仕事をしている。ユーチューブの広告だけで月80万円の収入があり、ブレークしていた頃よりも幸せだという。
ゼロからのスタートでいい、ひとりで黙々とやれるソロ活できることにハマろう、とネット時代の働き方について総括している。もちろん「一発屋」の芸人の実績があったからこその成功だろうが、すばらしい生き方だ。
本書には堀江貴文さんも「自らが決定権を持ち、高速で動く。ここに書かれていることは普遍的な成功法則だ」と推薦の言葉を寄せている。
本欄で紹介済みの『10年後の仕事図鑑』で、堀江さんが「趣味を仕事にしろ」と書いていたことにもつながる内容だ。
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