本書『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』(イースト・プレス)は、11年に刊行された『恋とセックスで幸せになる秘密』を改題し、新たな章を加え、14年に文庫化したもの。刊行から年数は経過しているが、増刷を重ねている。
J-CAST「BOOKWATCH」で紹介した『男は、こんな女を絶対手離せない。』『モテたいわけではないのだが ガツガツしない男子のための恋愛入門』(ともにイースト・プレス)は、女性・男性それぞれに向けた恋愛指南書。本書は少し違って、恋愛や性に悩む女性をメインターゲットとしつつ、マジメで不器用でモテない男性、不マジメなのにモテる男性も、読者層として想定している。
著者の二村ヒトシは、1964年生まれ。アダルトビデオ監督。著書に『すべてはモテるためである』(イースト・プレス)、『淑女のはらわた』(洋泉社)などがある。「AV監督の著書」という点にインパクトがあるが、どんな恋愛観が綴られているのだろう。
本書は、「なぜ、あなたの恋は『うまくいかない』のか?」「『恋する女は美しい』は、嘘」「恋しても『心の穴』は埋まらない。」「『女は、しんどい』社会のしくみ。」「すべての『親』は子どもの心に穴をあける。」「自分を受容できるようになるための7つの方法」「運命の相手は、どこにいるのか?」など、10の章で構成されている。
本書のキーワードは「自己受容」と「心の穴」。そこへの意識が、愛されるか愛されないかを左右するという。
著者によると、「自分を好き」という言葉には2つの正反対の意味がある。それは「ナルシシズム(自分への恋)」と「自己受容(自分への愛)」。恋愛でつらくなっている人は、自己受容していないのにナルシシズムが強すぎるから。また、相手の存在を使って自分の「心の穴」を埋めようとしているから。
「心の穴」は、誰しも心の中心にぽっかりあいていて、コントロールできない「感情や考え方のクセ」が湧いてくるが、そこからは魅力も生まれてくるという。「心の穴」を「ふさごう」とせずに、「かたちを知ろう」とすることが「自己受容」であり、それこそが愛される秘訣になる。
恋愛を成就させようと思うと、自分の外側に意識もエネルギーも向けがちだ。相手のために何をしなさいとか、自分磨きをしなさいとか、その類のハウツー本はよく見かける。その逆を行く本書は、やるべきは自分の内側を掘り下げて自己肯定することだと教えている。恋愛で苦しんでいる人にとって、再び恋愛を楽しむための知恵が得られるかもしれない。
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