AKBには「チーム8」というのがある。全国の都道府県から1人ずつ選出された47人で構成され、地域に密着した活動を展開している。本書『この歴史、知らなくてすみません。――47都道府県・感動の日本史』(PHP文庫)は、その京都代表の太田奈緒さんと歴史作家の河合敦さんの共著。
全国の都道府県から一人ずつ郷土の偉人を選んで紹介している。自分の地元の偉人はどんな人だろう。ちょっと興味がわく。
選ばれた偉人は、たいがい各都道府県の発展に貢献し、郷土の誇りとなるような活躍をした人たちだ。身寄りのない子供を育てたり、戦争の時に敵味方を問わず看病したり、など「善行」で知られる人もいる。
東京では早川徳次(1881~1942)が選ばれた。名前を知っている人は少ないに違いない。「地下鉄の父」だそうだ。早川の転機になったのはヨーロッパ留学。ロンドンで初めて地下鉄を体験して衝撃を受けた。帰国後、東京での地下鉄づくりに取りかかる。数々の挫折を経て昭和2(1927)年、ついに浅草から上野までが開通。「三越前駅」など、出資の見返りに駅名を付ける手口を考えたのも早川だ。
大阪では淀屋常安(1560?~1622)。武士から材木商に転じ、米の「先物市場」という制度を作るなど「商都」大阪の基礎を築いた。淀屋橋という橋を造った人のお父さんに当たる。とにかく稼ぎに稼ぎ、屋敷の広さは東京ドームの1.5倍もあったという。
有名な人物では、京都の高瀬川などを掘削した角倉了以(1554~1614)、島根をこよなく愛した外国人、小泉八雲(1850~1904)、漂流の末に捕鯨船に拾われ、英語をマスターして帰国した高知のジョン万次郎(1827~1898)、画期的な日本地図を作り上げた千葉の伊能忠敬(1745~1818)、全国の小学校に銅像が立った神奈川の二宮金次郎(1787~1856)などなど。
このほか奈良では吉野山の桜を守った「林業の父」、鳥取では「二十世紀梨」を広めた男、山梨は「勝沼ワイン」の礎を築いた人、茨城は「天狗納豆」、富山は「チューリップ大国」、青森では「リンゴ王国」の生みの親など。
女性では福島の「日本のナイチンゲール」、群馬では「世界遺産」を伝えた女性、鹿児島では「種子島の母」、宮崎は日本初の小学校の女性校長、愛媛はシーボルトの娘などの名が。
河合さんによる「偉人紹介」のあとに、それぞれの「県代表」のAKBメンバーが短文の感想を寄せている。中にはお国訛りモロ出しのコメントもあって楽しい。自分の出身県や暮らしたことがある県を手軽に再発見できる「一県一偉人読本」だ。
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