子供の貧困が近年、しばしば話題になる。調査や時期によってまちまちだが、10数%が貧困層らしい。約7人に1人という。
そうした貧困状態の子供たちと、食べ物や、健康状態などとの関係を探ったのが本書『子どもの貧困と食格差』(大月書店)だ。
本書では2013年に、東日本の小学校19校の1447人に調査した結果が出ている。貧困基準以下の児童は17.1%。国の子ども貧困率とほぼ同じだ。
それによると、世帯収入が貧困基準以下の児童は、朝食を毎日食べる割合が少ない。とくに学校が休みの日は約3割が食べていなかった。また、家庭での食品群別では、野菜を食べる頻度が少なく、魚・肉の加工品やインスタント麺を食べる頻度が多かった。最も年収が低い層では、たんぱく質やビタミン、ミネラルの摂取が少なかった。
この調査から、世帯収入が低い層の児童は、朝食抜きになりがちで、食事内容は主食に偏り、野菜やたんぱく源となる食品の摂取量が少なく、インスタントや加工食品など簡単な食事が多いことが見えてきた。
さらに保護者に対しての調査では、貧困基準以下の世帯では、この1年間に「必要な食物」を購入できなかった経験のある人が、「よくあった」「時々あった」を合わせると半数に上ることが分かった。
アメリカに行くとすぐに気づくことだが、ファストフード店でポテトをパクついている親子はたいがい太っており、スタバには筋肉質のビジネスパースンが多い。美術館や博物館でも、西洋絵画や現代アートの美術館に行くと、スリムな人が目立ち、恐竜博物館では太った親子連れが多い。お金持ちそうな人の方がスリムで、貧乏と思われる人の方が肥満だ。
なぜだろうと思っていたのだが、本書にヒントが出ていた。低所得の家庭では、限られた予算の中で空腹を満たそうとするため、高カロリーだが栄養価が低い食品を購入しがちになるというのだ。もちろん肥満には多くの要因がある。食生活だけに単純化できないことは本書でも指摘されている。ただし、多くの肥満要因の中で「貧困」が有力な一因であることは、すでに欧米の研究で明らかになっているという。
先進国における貧困は、アフリカなどの飢餓とはやや異なる。見かけの上では、そこそこ普通の食生活をしているのだが、安くて腹がいっぱいになる高カロリーな食事に偏りがちなのだ。そういえば先日、似たようなことが、本欄で紹介した『ラーメンを科学する』でも指摘されていた。化学調味料などを上手に使うと味のいい食品ができるが、それは必ずしも栄養価が高いということではない。ラーメンを食べる時は栄養価に気配りする必要があるということが強調されていた。
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