読むべき本、見逃していない?

「無化調ラーメン」、意外な一面とは

ラーメンを科学する

 ラーメンは日本を代表する大衆食であり、最近は外国人にも人気のようだ。ラーメンに関する本も山というほどあるが、たいがいは、どの店がおいしいかというガイド本だ。本書『ラーメンを科学する』(カンゼン)のように、人気の理由を科学的に分析しようとした本は少ないのではないか。

小さじ一杯ぐらいの化学調味料

 「何がラーメンの味を決めるのか?」「飲んだ後のラーメン、なぜ美味い?」「おいしい『麺』とは何か?」「なぜあの店にばかり行列ができるのか?」――本書は9章にわたって、人がラーメンに魅せられる秘密を分析している。

 著者の川口友万(ともかず)さんは出版社勤務を経て99年からライターに。これまで科学情報サイト「サイエンスニュース」の編集統括や五反田にあるバー「化学実験酒場」を経営するなど、様々な角度から科学をテーマに活動している。著書に『ホントにすごい日本の科学技術』(双葉社)、『ビタミンCは人類を救う!!』(学研パブリッシング)などがあるサイエンスライター。いわゆるグルメライターではない。

 本書で特に興味深いのは、第5章「無化調ラーメンとは何か?」。いわゆる化学調味料を使っていないとされるラーメンについての追究だ。評者がかつて通った超有名店は、客の目の前で小さじ一杯ぐらいの白い化学調味料をどんぶりに入れていた。ラーメンは塩分が多いとか、食べ過ぎると健康に悪い、栄養が偏っているなどと言う指摘もよく聞く。ラーメンの中身が体に与える影響が心配な人は少なくないだろう。

 この章では加工食品ジャーナリスト中戸川貢さんに聞く形で、疑問に迫る。中戸川さんはかつて食品メーカーに勤め、製品をラーメン屋さんに卸していたから業界の内部事情に詳しい。

化学調味料で味が良くなった

 川口さんはまず自分で「無化調ラーメン」を作ってみる。一杯の原価が約700円になった。時間も5時間かかった。仮に店で商品として出す場合、2000円ぐらいの値付けをしないと採算がとれない。しかもさほどおいしくなかった。どんぶりに化学調味料をぱらぱら振ったら、味が良くなった。最近は「無化調」をウリにする店もあるが、どうなっているのか。

 中戸川さんの答えは簡単だった。「化学調味料と名乗らなくてもいい化学調味料が増えただけ」。化学調味料の代わりに、酵母エキスや蛋白加水分解物などという「食品」に分類されるものを使えば、そっくりの味が作れるのだという。そもそもほとんどの人は、化学調味料を使った味に慣れているので、本当の「無化調」のラーメンを食べても、おいしいと思えなくなっているとも。何とも切ない話だ。もちろん真実の無化調づくりで頑張っている店もあるのだろうが。

 化学調味料に頼りすぎると、栄養価が落ちるのは事実らしい。そこで中戸川さんは、良いラーメン店の見分け方を教える。重要なのは、ちゃんと鶏や豚骨をぐつぐつ何時間も煮て、きちんとしたスープを作っているかどうか。最後にちょっとだけ化学調味料は入れても、しっかり食材を煮たラーメンのスープは、栄養価が高いからだ。店主の人柄も重要だという。こだわりをもって、そういうスープを作っているかどうか。

 「インスタントラーメンの科学」についても独立した章を割いて言及している。ラーメン好き、ラーメン尽くしの生活をしている人は、本書を手に取って、日ごろの食生活を振り返ると良いのではないか。かなり詳しくいろいろなことが書かれているので、ラーメン店の経営者にとっても参考になるだろう。

  • 書名 ラーメンを科学する
  • 監修・編集・著者名川口友万 著
  • 出版社名カンゼン
  • 出版年月日2017年12月18日
  • 定価本体1500円+税
  • 判型・ページ数B6判・296ページ
  • ISBN9784862554420

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