平成がほどなく終わり、新しい元号になる。明治、大正はもちろん、昭和もどんどん遠くなる。
本書『昭和の東京』は、消えゆく懐かしい東京の昭和を記録した写真シリーズ。今回は東京のど真ん中、中央区に絞っている。
撮影したのは加藤嶺夫さん(1929~2004)。出版社勤務のかたわら、1966(昭和41)年から東京の街角や建物などの写真を撮り続けていた。残されたネガフィルムは1130本。その中から、区ごとに懐かしい写真を選び出し、順次刊行されている。初回が「新宿区」、続いて「台東区」、「千代田区」、「江東区」と刊行し、今回が5冊目になる。
中央区は銀座を軸に日本橋や築地などがあり、全国の人になじみが深い。本書にはまるで古い日本映画のセットのようなレトロな光景もあり、往年の大スターがひょいと登場しそうな気配が漂う。そういえば昔はこんなだった・・・と懐かしく思うのは、東京の人だけではないだろう。
収録された223点のモノクロ写真には、撮影場所や建物名、そこが現在はどうなっているかの説明も付いている。銀座8丁目のキャバレー「ショーボート」はリクルート社の「GINZA8」ビル、月島の路地裏の木造集合住宅群はタワーマンションなど、変化が激しい。「現在も営業中」という店は少ない。
巻末には撮影時に使用した区分地図や都電系統図(昭和38年版)、評論家の川本三郎さんと泉麻人さんのエッセイも掲載されている。
2020年の東京五輪に向けて、東京はさらなる都市改造のまっ最中。やがて平成の風景も、あっというまにまた懐かしいものになってしまうのかもしれない。
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