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書評掲載元:週刊文春 7月6日号 書評

集団就職

 

 集団就職」と聞いて、NHKでいま放送中の朝ドラ「ひよっこ」を連想した人も多いだろう。だが、「金の卵」となると、「中卒」者を指すのが通例だ。「ひよっこ」の主人公は、高卒だし、出身も茨城県なので、「集団就職」というイメージとは少し違うのだ。

 

 東北から夜行列車にゆられ、上野駅に着いて......というのが、テレビのドキュメンタリー番組の「文法」であり、実際に東北出身者が多かった。本書がユニークなのは、西日本出身者の「集団就職」に光を当てたことだろう。九州、沖縄などから京阪神に行き、鉄鋼や紡績などの工場へ、あるいは中京の繊維や陶器の工場で働いた人たちのその後を追った。

 

 評者の稲泉連氏(ノンフィクション作家)は「著者はその過酷さを単なる『残酷物語』として安易には描かない」と書いている。

 

 週刊朝日6月30日号のインタビューで著者は「高校野球、歌声喫茶、テレビなど娯楽も増え続け、過酷であってもどこか明るさがありました。『ひよっこ』と同じですね」と答えている。やはり「ひよっこ」か。「集団就職」を現代風にマイルドに解釈し、提示したのが件のドラマということなのか。

  • 書名 集団就職
  • サブタイトル高度経済成長を支えた金の卵たち
  • 監修・編集・著者名澤宮優 著
  • 出版社名弦書房
  • 出版年月日2017年4月21日
  • 定価本体2000円+税
  • 判型・ページ数B6判・261ページ
  • ISBN9784863291515

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