絵本『せいめいのれきし』(バージニア・リー・バートン文・絵、いしいももこ訳、原著は1962年刊)は、科学への関心を啓蒙した名著だが、20世紀後半に遺伝子学などの研究は著しく進んだ。国立科学博物館の「恐竜博士」として知られる著書が2015年、その改訂版を監修、併せて書いた解説をまとめたものだ。
評者の稲垣真澄氏(評論家)は、哺乳類の起源について新解釈を打ち出している点が面白いとしている。「哺乳類は一度も爬虫類段階を経ておらず、魚類→両生類→爬虫類→哺乳類という単線進化論はありえないらしい」と書く。
絵本だから、子ども向きに書かれたものだが、大人にとっても面白く有益な本である。