怪作『七帝柔道記』は、柔道の練習に生活のすべてを捧げた大学生を描いた小説だった。あの主人公はどうなったかと思っていたら、北大を中退し、北海道の新聞社に就職していた。重要な脇役として登場する。この新聞社、仕事はきつい、休めない、給料が安いという典型的な3K職場だった。本作の主人公が配属されたのは取材現場ではなく、新聞の見出し、レイアウトを考える「整理部」だった。
新聞記者が主人公の小説で、おそらく「整理部」が舞台になったのは初めてだろう。それくらい地味で、外の人の眼にふれない職場だ。会社を辞めようと思った主人公は、伝説の先輩のもとで、一から新聞作りを学ぶ。このあたりは前作を思わせるきつい日々の描写が続く。
なぜ、人は働くのか、そんなことを考えさせる作品だ。書評によると、「あまりの低賃金に、著者も2年でタイムスを去った」とある。移った先は中日新聞。北海タイムスはその後、廃刊となり、多くの人が同業他社に移った。
札幌の街の描写が清冽だ。厳しい寒さのなかで育まれる青春物語としても楽しめる。
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