野村證券の第2事業法人部をバブル期に率いた著者の回想記だ。本の帯には「バブル期の野村證券でいちばん稼いだ男」とある。最近、バブルの回想本がブームだという。その口火を切った『住友銀行秘史』はイトマン事件の暴露本で、闇紳士が銀行の最高幹部に取り入り、白アリのように銀行を蚕食する様が描かれ、震撼させられた。「反面教師として当時を知りたい若い読者に、うってつけの本である」と評者の原真人氏(朝日新聞編集委員)は勧めるが、オリンパス粉飾事件の被告として最高裁に上告中の身であることを考えると、著者の言い分を鵜呑みにはできない。