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メーカーの成功の決め手は、“カスタマイズ”になる?

 アメリカで急成長を遂げたYOUBAR。顧客の好みによってカスタマイズしたシリアルバー販売で大成功を収めている。添加物、着色料、保存料を使った大量生産の既成のシリアルバーに嫌気がさしていた、アンソニー・フリンが、個人の好みや健康志向、アレルギー対策から始めたものだ。

こうした顧客の嗜好に合わせたカスタマイズの動きは、YOUBARの前にもあった。たとえば1976年バーガーキングは、顧客に好きなトッピングとソースを選ばせ、マクドナルドやウェンディーズとの差別化を図った。草分けであるサブウェイが誕生したのは1974年。まさにこの時期、ファストフード業界からカスタマイズののろしがあがったのである。

そして今やスペックを選択すれば自分仕様のパソコンに組み立ててくれるデル・コンピュータ、カスタム・ジーンズのリーバイ・ストラウス、オーダーメイド・シューズのナイキ、カスタマイズ・コーヒーを始めたスターバックス、カスタム・ムスタングのクライスラーといくつもカスタマイズビジネスを手掛ける企業を挙げることができる。

こうしたトレンドを著者は、消費者の心理面や、イノベーションの結果であると分析する。とくにネット上に構築された顧客とメーカーを結ぶシステムの発展は大きい。顧客は、選択していく目の前で、商品の色や、形状を3Dで確認できるのだ。

最後にカスタマイズの面白いビジネスをひとつ紹介しよう。パーソナルノベルである。先ごろいとうせいこう氏が同様の試みをしていたが、要は主人公が空欄の小説が事前に用意されていて、依頼主であるあなたが主人公になって、本になるというものだ。もちろん名前は自由に変えられるので、あなたではなく彼女であっても、彼氏であっても、両親であってもいいわけだ。ストーリーはいくつも用意され、その人にふさわしいストーリーが選べるようになっている。

パーソナルノベルに限らず、アイデアや工夫しだいでいかようにもビジネスモデルを構築できるカスタマイズビジネス。今後爆発的に拡大することが予想される。

 
 
 
 
 

書名:カスタマイズ 【特注】をビジネスにする新戦略
著者:アンソニー・フリン/エミリー・フリン・ヴェンキャット[共著]
訳者:和田美樹
発売日:2014/10/31
定価:本体1800円(税別)

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