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緊迫する日中米の関係を軍事から読み解く

なぜ中国は、尖閣諸島をはじめとし、周辺隣国へ圧力をかけ続けるのか? それは、やがて戦争へとつながるのか?
 これらの問いに明確に答える本が出版された。兵頭二十八著『北京は太平洋の覇権を握れるか――想定・絶東米中戦争』(草思社)である。
中国にとっては共産党体制の存続がすべてに優先する。南シナ海に進出しボルネオの油田を支配しない限りエネルギー面での安定ははかれず、これが叶わなければ体制崩壊は必至。だが、この方面で横暴さを増す中国をナンバーワン大国たるアメリカは決して許さない――。
本書は太平洋の覇権をめぐり絶東=極東において米中が激突した場合を想定、その戦況をシミュレートしたものだ。一読すれば、米中開戦はあり得ないとわかる。米国の軍事力は圧倒的で、中国側も彼我の戦力格差は十分承知している。
それでも太平洋に出なければならない中国の次の一手は何か。第一級の軍事専門家、兵頭氏はこう見立てる。すなわち軽くて大威力の水爆弾頭技術を米国から盗み出してこれを製造、密かに米国との「核対等」を構築する一方、国境戦争には至らぬよう軍人をコントロールしつつ周辺国に対して中国軍の脅威を示す――。尖閣での挑発も中国共産党の生き残り戦略の一環と見れば腑に落ちるはずだ。

北京は太平洋の覇権を握れるか――想定・絶東米中戦争
兵頭二十八
2012年
 

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