「学芸会ではうちの子を主役にさせろ」から「親が学校に乗り込み教師を恐喝」まで。モンスターペアレント問題については、これまでさんざん報道され、もうみなさん何の驚きもないことでしょう。ですが、これはちょっとレベルが違います・・・・・・。
さかのぼること2003年6月、全国ではじめて「教師によるいじめ」と認定される事件が福岡で起こりました。
「早く死ね、自分で死ね!」。問題の小学校教師は、担当児童を自殺強要や暴力でPTSDによる長期入院に追い込んだとされ、地元新聞の報道をきっかけに、ワイドショー、週刊誌の取材が殺到。ある週刊誌では、実名で「殺人教師」とまで報じられ、その悪名は全国に響き渡ることになります。
ですが後に、一連の事実は、児童両親によるでっちあげだったことが明らかになるのです。つまり、クレーマー保護者の虚言によって、彼は史上最悪のいじめ教師に仕立てられてしまったというわけです。
子供は善、教師は悪という単純な二元論的思考に陥り、550人もの大弁護団を結成した人権派弁護士、保護者の無理難題を拒否できない学校現場や教育委員会、すぐに騒いで教師を悪者にするマスコミ、被害者を救うヒロイズムに酔う精神科医、そしてモンスター・ペアレント......。
病める教育現場で、偽善者たちが引き起こした驚愕の冤罪劇は、実際に起こった出来事だけに、その恐ろしさはもはやホラー小説以上です。
「話の展開が気になり読み出したら止まらない!」 被害者の先生には申し訳ないのですが、Amazonのレビューは、そんな感想であふれています。
第6回「新潮ドキュメント賞」受賞作。みなさんも睡眠不足は覚悟なさってください。
『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』 関連情報はこちらでっちあげ
福岡「殺人教師」事件の真相
福田ますみ 著
定価540円(新潮文庫)
2010年1月1日発売
新潮社