「プラセボ(プラシーボ)効果」という言葉を聞いたことがあるだろうか? 有効成分が入っていない薬を服用しても、病気の症状が改善することだ。「偽薬効果」とも言う。
本書『僕は偽薬を売ることにした』(国書刊行会)は、なんとも挑戦的なタイトルだが、そんな偽薬を販売する会社を経営する水口直樹さんが書いた本だ。
あやしげな人と思うかもしれないが、そうではない。水口さんは2010年に京都大学薬学部を卒業、その後同大学院を修了し、製薬会社に研究開発職として入社したエリート研究員。2014年に退職独立。偽薬を売るプラセボ製薬を設立、代表取締役を務める。スローガンは「人のため ニセモノだから できること」。
偽薬がなぜ効くのかは、科学的には説明できない。しかし、昔から効果があるので「プラセボ(プラシーボ)効果」と言われてきたし、今も新薬の開発の際、治験に使われることが多い。そこで水口さんは、薬の限界やエビデンスと言われる科学的根拠に基づく現代医療の限界にも目を向けるようになった。
実はプラセボ製薬は医薬品を製造していない。扱っているのは食品だ。還元麦芽糖などの各種食品成分を成形した製品を「プラセボ食品」と称し、本物のプラセボ(偽薬)と明示して販売している。自分の身体に備わる自然治癒力を信頼できる、そんな健康観の普及を目指しているという。
本書は、現代の医療、医学に疑問をつきつけるような問題作とも言える。薬づけの医師や病院のあり方に疑問を持っている人がお読みになれば、その主張になるほどと納得するだろう。
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日時は2019年9月20日(金)19:00から。
「プラセボ(プラシーボ)効果」について水口さんから直接話を聞いてみたい方は要チェックだ。
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