「世界はそれを友と呼ぶんだぜ」
イラストレーター・やまもとりえさんの『うちらはマブダチ』(KADOKAWA)は、やまもとさんが大学時代に仲良くなった卓球部の仲間たちとの友情&青春を描いたコミックエッセイ。
鹿児島から京都の美大に進学したものの、なかなかなじめずにいたやまもとさんと、変な仲間=マブダチたち。貧乏でバカばかりしていたあの日々は、いくつになってもずっと、特別な時間なのだった。
「あの頃の自分に教えてあげたい 困った時にかけつけてくれる友がいること それがどれだけ幸せなことか」
今から20年ほど前、鹿児島から京都の美大に進学したやまもとさん。しばらくは誰ともしゃべることなく、寂しく暮らしていた。というのも、慣れない関西弁が怖かったのである(今は関西弁大好き)。その上、方言を隠すためにだんまりを決めこんでいたので、ますます友達ができなかった。
中には優しく声をかけてくれた子もいて、遊びに誘われたこともあったが、それは宗教の勧誘だった。「友達の作り方がわからんがよ」と、鹿児島の友達に電話で助けを求めたことも。それからしばらく、友達ができない日々は続いた。
そんなやまもとさんの転機となったのは、大学2年生の秋に行われた学園祭。大学全体が盛り上がる中、教室でポツンと一人で絵を描いていたやまもとさん。無性に寂しくなって教室を出た。
「自分も青春がしたい!!」一心で、たこ焼き屋を出店していた卓球部に近づいていく......。ドキドキしていたが、そこにいたのはとてもウェルカムな人たちだった。
「ヒマなんか? ヒマなんやったら 客の呼びこみやってみっか?」
「仲間に入れてもらえた これがきっかけで卓球部と仲良くなった」
ここからやまもとさんは、卓球部の面々との距離を縮めていく。
いつも谷間が見えている「Yちゃん」、見た目は日本人形で中身はオッサンな「コッペちゃん」、気は優しくて力持ちの「親分」、人の話を聞いていない「Mちゃん」、小柄で童顔な「モンピちゃん」、ピンク色の髪で体中ピアスだらけの「Aやん」、クールビューティーな「Sやん」、年中薄着の「たーやん」、ツンデレのツンが多すぎる「P氏」、卓球部のラスボス「ゆりやん」......。
個性豊かな「マブダチ」たちと、いつもバカばかりして笑い転げていた日々。その関係性は卒業しても変わることなく、今に至る。うらやましいくらいに全力で青春をしているやまもとさんたちを見ているうちに、自分のあの頃もよみがえってくる、そんな作品だ。
本書は、2022年11月から2023年6月にSNSで発表した作品を修正し、描き下ろしを加えたもの。
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