嫌われたらどうしよう、将来が不安だ......など、あれこれ考えすぎてしまう。ネガティブ思考を断ち切るにはどうすれば? そんな悩みを抱えているあなたにおすすめなのが、『精神科医が教えるこじらせない心の休ませ方』(大和書房)だ。精神科医の保坂隆さんが、心がラクになる考え方や行動のし方を教えてくれる。
今回は、本書の「第7章 気にしなくていい」から、クヨクヨしなくなるコツをお伝えする。
まず、悲観的な考えにとらわれるのは、個人の性格のせいではなく、誰でも持っている脳の働きなのだそう。これを止めるには、やはり脳の機能にアプローチするのが効果的だ。
脳は「ひとつのことにしか集中できない」という特徴がある。特に集中しやすいのが、手を使う作業だ。手芸をしたり、絵を描いたり、料理をしたりしている間に、気づいたらほかのことを全然考えていなかったという経験はないだろうか。これを利用して、脳から悲観的な考え方を追い出すことができる。
保坂さんが特におすすめしているのは、掃除だ。手を使って目の前の汚れやほこりを取るのに集中すると、悲観的な考えが消えるだけでなく、「きれいにできた」とプラスの感情も生まれる。保坂さん自身も、クヨクヨしそうになると机の上の掃除を始めるそうだ。ぜひ試してみてほしい。
日常のクヨクヨは掃除で消すことができる。では、とても大きな不安や悲しみにとらわれたら? 大きな失敗をしたり、身近な人を亡くしたりしたときには、悲観的な気持ちから簡単に抜け出すのは難しい。
しかし、そのまま放っておくとストレスは増す一方で、そのうち心が壊れてしまうかもしれない。どうしたらラクになるのだろうか。
保坂さんがすすめているのは瞑想だ。瞑想すると、不安や悲しみを客観視でき、考え込むのを防いでくれる。瞑想にはさまざまな種類があるが、本書では以下の基本的な手順を紹介している。
(1)体から無駄な力を抜き、背筋を伸ばしてイスなどに腰かけます。
(2)手は自分のやりやすいかたちにします。膝の上に乗せても、組んでもいいでしょう。
(3)この状態で一度、肩をギューッと上げてストンと落とします。
(4)姿勢が整ったら目を閉じ、なにも考えずにリラックスしてみましょう。
(5)ただひたすら、吸って吐く息に集中します。息を吸うときには鼻から、吐くときには口から細く吐き出します。
(6)雑念が浮かんできても、追いかけないようにしましょう。(例:テレビの音が聞こえてきても、「消してくればよかった」「誰がつけたんだろう」などと連想しない)
「無心になろう」と考えすぎると、かえって雑念が浮かびやすい。呼吸だけに集中するのがうまくいくコツだそうだ。
本書ではほかにも、人と比べるのをやめるには? 無理しすぎないためには? など、心をラクにする方法がたくさん紹介されている。ストレスを溜め込みやすい人はぜひ手に取ってみては。
■保坂隆さんプロフィール
ほさか・たかし/保坂サイコオンコロジー・クリニック院長。1952年、山梨県生まれ。慶應義塾大学医学部卒業後、同大学医学部精神神経科入局。東海大学医学部教授、聖路加国際病院リエゾンセンター長・精神腫瘍科部長、聖路加国際大学臨床教授を経て、現職。著書に『精神科医が教える50歳からの人生を楽しむ老後術』『精神科医が教える50歳からのお金がなくても平気な老後術』『精神科医が教える60歳からの人生を楽しむ孤独力』『精神科医が教えるすりへらない心のつくり方』がある。
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