外に出る機会が減ると、なんだが気分が落ち込んでしまう。会社が倒産したらどうしよう、コロナウィルスがもっと広がって、このまま誰とも会えなかったら? 自分の人生はお先真っ暗なのではないか......などと考える始めると、どんどん心配になってくる。しかし、実際に感じている心配事は「ほぼ起こらない」とやさしく説いてくれる本を紹介したい。
現役の禅僧にして、庭園デザイナー、大学教授としても活躍している枡野俊明さんが、迷える現代人に贈る『心配事の9割は起こらない―――減らす、手放す、忘れる「禅の教え」』(三笠書房)だ。本書はKindleの宗教入門、仏教入門のカテゴリーにておいて1位を獲得した。
禅の教えは、私たちの生活と結びついたとても身近なところにあると、枡野さんは言う。例えば、玄関で脱いだ靴をきちんと揃える、食事の時は食べることに集中するなど。当たり前のことを大切に丁寧に実践する、「いま」「ここ」だけに集中することで、余計な不安や悩みを抱えないように心が整っていくのだという。確かに、料理をしながら、掃除機をかけながら、子どもの話を聞きながら、心は心配事に向いていることが多々ある。そんなとき、今やっていることだけに集中しようと心がけると、気持ちが落ち着いてくるのが実感できるのでは。
枡野さんが優しく語りかけてくれるのは、48の禅の教えから説く人生のコツである。 余計な不安や悩みを抱えないように、他人の価値観に振り回されないように、無駄なものをそぎ落とし、限りなくシンプルに生きることを指南してくれる。
悩むより動く――そのほうが物事は絶対うまくいく
人と比べない――"妄想"の9割はこれで消える
前向きに受け取る――幸せかどうかは、あなたが決める
「お先にどうぞ」――求めない、あせらない、こだわらない
「朝」を大切にする――心に余裕をつくる最善の方法
余計なことを調べない――情報の"暴飲暴食"はやめる
「競争」から離れてみる――禅的「不安の遠ざけ方」
ちょっと長くなるが、目次を紹介しよう。今のあなたに必要なメッセージを見つけることができるだろう。
はじめに
●1章さっさと減らそう、手放そう、忘れよう
禅的、不安と悩みの遠ざけ方
・"妄想"しない───禅が教える、「比べない生き方」
・「いま」に集中する───「自分を大切にする」とは、こういうこと
・引きずらない、抱え込まない───「心を整える場所」を生活空間につくる
・持ち物を減らす───すると、心も身体も軽くなる
・「あるがまま」でいる───「どうにもならないこと」に心を注がない
・「色眼鏡」を外す───人間関係の悩みの九割は、これで消える
・「潔い人」になる───「地位」や「立場」なんて、さっさと譲る
・「いい加減」を心得る───人は自分の力量に見合ったことしかできない
●2章「いま」できることだけに集中する
すると、「余計なこと」は考えなくなる
・「あたりまえ」を見直す───いま、ここにある幸せに気づく
・あせらない、あわてない───毎日一回、必ず「立ち止まる」
・前向きに受け止める───落ち込んでもいい、でも早く立ち直ろう
・朝を大事にする───心に余裕をつくる一番の方法
・自分の「ものさし」で生きる───他人の価値感に振り回されないために
・余計なことを調べない───情報の"暴飲暴食"はやめる
・置かれた場所で輝く───「いま」やらないで、いつやるのか?
・感情に逆らわない───それが、なにものにもとらわれない姿
・夜は静かに過ごす───大事な判断を夜中にしてはいけない
●3章「競争」から一歩離れると、うまくいく
人は人、私は私、という考え方
・「勝負」にこだわらない───勝っても負けても同じ、ということ
・コツコツ続ける───人の才能をうらやむ前にやるべきこと
・「おかげさま」を感じる───自分一人でできることなど、たかが知れている
・「いい言葉」を使う───言葉には、恐ろしいほどのパワーがある
・若い人に任せる───あなたの出番はいつか必ずやってくる
・どんな境遇も受け入れる───順境もよし、逆境もまたよし
・今日やるべきことは、今日やる───人生を窮屈にしないための極意
・簡単に逃げない───失敗したって、命までとられるわけじゃない
・もっと「寛容」になる───人は人、自分は自分、それでいい
・「流れ」に任せる───「孤独」はいいけど、「孤立」はいけません
・うまく話そうとしない───誠意のある「沈黙」をしよう
・呼吸を整える───イライラ・クヨクヨが消える「禅の呼吸法」
・家の中の"空気"を変える───まずは、朝起きたときから
●4章人間関係が驚くほどラクになるヒント
いい縁の結び方、悪い縁の切り方<
●5章「悩み方」を変えると、人生は好転する
お金、老い、病気、死......について
・「お金」について───「もっと欲しい」と思うから苦しくなる
・「年をとる」ことについて───「許せること」が増えていくのは、幸せなこと
・「老い」について───身だしなみ、姿勢、呼吸......禅の教え
・「恋愛」について───恋愛も"腹八分目"がちょうどいい
・「夫婦」について───「感謝」の言葉が、いい関係をつくる
・「親子」について───「過干渉」が心配のタネとなる
・「死」について───「死ぬ」ことは、仏様にお任せすればいい
・「最期」について───あなたは、どんな「言葉」を遺すか?
気になるフレーズから、気軽に読んでいける構成になっている。この機会に、禅の教えを生活の中に取り入れてみたい。人間関係も良くなり、心が軽くなりそうだ。
■枡野俊明さんプロフィール
1953年、神奈川県生まれ。曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行ない、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。また、2006年「ニューズウィーク」誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」にも選出される。
庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園、ベルリン日本庭園など。主な著書に、ベストセラー『禅、シンプル生活のすすめ』、『禅「心の大そうじ」』(以上、三笠書房《知的生きかた文庫》)のほか、『禅が教えてくれる美しい人をつくる「所作」の基本』など多数がある。
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