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光熱費の引き落としができない...! 夫が亡くなった時、妻が最初にやるべきこととは?

「もしも夫が亡くなったらどうしよう?」と思ったら読む本

   夫婦そろって今は元気でも、いつかは直面することになる「相続」。それまで良好な関係だった親族がいがみあうこともあり、「争続(そうぞく)」と呼ばれることも。

   相続対策が専門の税理士・島根猛さんは、夫が先に亡くなり残された妻が途方に暮れる姿を数多く見てきた経験から、どうにかして彼女たちの不安を取り除きたいという思いで相続対策の本を執筆したという。

   島根さんの著書『「もしも夫が亡くなったらどうしよう?」と思ったら読む本 夫婦で豊かな老後を送るために知っておきたい相続のこと』(クロスメディア・パブリッシング)から、いつか来る「その時」に備えて知っておきたい、相続対策のポイントを全3回にわたって見ていく。

   前回の記事はこちら→62歳の夫に先立たれた59歳の妻。相続問題で「何より優先すべきこと」とは?

   今回は、第3章「夫が死亡した直後のことを想定しよう その1 銀行口座のこと」から、夫の死後、実際に必要な手続きや見落としがちな部分について押さえよう。

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夫の銀行口座。本人が亡くなったらどうなる?

~以下、本文より~

銀行口座が凍結される前に必要経費の確保を

■夫が死亡した直後のことを想定しよう ▼ その1
銀行口座のこと

   ここからは、ご主人の死後にどのような手続きやタスクが発生するのか、より具体的に見ていきましょう。

   ご主人が亡くなると、まずは親族や会社、友人・知人といった関係者に亡くなった旨の連絡を入れると同時に、葬儀会社を通してお通夜と告別式の準備を進めます。あわせて、死後7日以内に死亡届を市区町村に提出しなければなりません。さらに、火葬するためには火葬許可証も必要です。煩雑な行政手続きを自分でこなす心の余裕を持てない場合は、死亡届の提出や火葬許可証の申請を葬儀会社に代行してもらうことも可能ですので、相談してみるといいでしょう。

   このころは、目の前の通夜や告別式、様々な手続きに追われ、悲しみに暮れる暇すらない時期といえますが、ここでしっかり対応しておくべきが、葬儀費用やご自身の生活費のことです。

   そもそも、葬儀には大きな費用が発生します。規模によって大きく異なり、かつ最近は小ぢんまりとした家族葬が増えてきたとはいえ、それでも平均して100万~200万円はかかると想定しておいたほうがいいでしょう。葬儀費用を負担するのは、多くは喪主あるいは相続人となります。

   同時に考えておくべきが、今後の生活費についてです。あなたが専業主婦であれば、それまで日々の生活費は、おそらくご主人名義の銀行口座から引き出していたことと思います。しかし、死亡届が役所で受理されて金融機関がご主人の死を把握すると、銀行口座は凍結されてしまいます。すると相続手続きが完了するまでご主人名義の銀行口座から一切お金を引き出せなくなってしまい、水道光熱費などの引き落としすらできなくなってしまうのです。

   なかには、知り合いなどから「うちも夫が死んだけど、銀行口座は凍結されなかった」という話を聞いたことがある方もいるかもしれません。実は、ご主人の死亡届を役所に提出したからといって、すぐに銀行口座が凍結されるわけではなく、口座が凍結されるのは、あくまで銀行側が名義人の死亡を把握した時点でのことです。つまり、銀行がご主人の死を知らなければ口座は生き続け、「うちはすぐ止まった」「うちは止まらなかった」と、ケースバイケースで異なるわけです。

   たとえば、ご主人が4月1日に亡くなり、そのことを銀行が4月30日に把握して、口座が4月30日に凍結されたとしましょう。この場合、4月29 日まではご主人名義の銀行口座からお金をいくら引き出してもかまいません。むしろ、いずれ口座が止まってしまうことを前提とすれば、できるだけ現金を確保しておいたほうが賢明です。

   実際、ご主人が突然倒れて余命宣告され、それ以降は毎日ATMで限度額までお金を引き出す方や、「当面の生活や各種の支払いを考えて、200万円くらい引き出してから夫が死んだことを銀行に言う」という方もいます。これは、ご主人の銀行口座が凍結する前にできるだけ大きなお金を手許に準備しておくという意味で、きわめて有効な手立てのひとつといえます。

   葬儀以外にも、その後の会食やお墓の準備など、四十九日くらいまでは様々な場面で多額のお金が必要となります。「とりあえず地元でお葬式をして、ご主人の実家で納骨を行う」というケースもありますから、そうなると費用はさらに上積みされます。

   お墓に関していえば、最近では生前にお墓を買っておくというのもひとつの潮流ではありますが、死後にお墓を購入する人も多く見られます。地方によって異なりますが相場として150万~300万円といわれます。何百万円という支出が発生するものと想定して、やはりご主人の口座が凍結する前に、必要な資金を引き出しておくことをおすすめします。

~以上、本文より~

   著者の島根さんは、夫の死後、その銀行口座が凍結される前にできるだけ大きなお金を手元に用意しておくのはその後のためにも非常に重要だという。

   ただし、中には「死後、妻がATMから多額の現金を引き出している」ことを快く思わない親族から指摘を受ける場合も。

   そこで次回は、親族との揉め事を極力避けるために妻が準備しておきたいことについて、同じく本書から紹介したい。

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■島根猛さんプロフィール
しまね・たけし/島根税理士事務所代表税理士。埼玉県で代々続く専業農家の長男として生まれる。「実家の相続を円満に導きたい」という思いから税理士を志し、24歳で税理士試験に合格。大学卒業後に専門学校での税理士講座講師、某保険会社の営業職を経験したのち、税理士法人にて税理士業務の基礎を学び、27歳で税理士登録。その後は相続税のエキスパートとして年間100件以上の相続案件に携わる。共著に『円満相続をかなえる本』(幻冬舎メディアコンサルティング)がある。



  • 書名 「もしも夫が亡くなったらどうしよう?」と思ったら読む本
  • サブタイトル夫婦で豊かな老後を送るために知っておきたい相続のこと
  • 監修・編集・著者名島根猛 著
  • 出版社名クロスメディア・パブリッシング
  • 出版年月日2023年1月16日
  • 定価1628円
  • 判型・ページ数四六判・192ページ
  • ISBN9784295407874

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