ノーベル経済学賞候補でもある、ブラウン大学経済学教授のオデッド・ガロー氏。彼の著作が30か国で刊行されるほどの話題作となっている。
日本では、2022年9月28日に『格差の起源 なぜ人類は繁栄し、不平等が生まれたのか』(NHK出版)として発売される。
現代の国家や地域間に存在する貧富の格差の原因は何なのだろうか。実は、人類が誕生して以来30万年近くもの間、つい200年前の19世紀になるまで、世界中には大きな経済格差は見られなかったという。
19世紀以降の経済成長の歩みは、世界各地で一様ではなかった。
例えば、西ヨーロッパ諸国と、北アメリカやオセアニアなど西ヨーロッパから派生した国の一部では、早くも19世紀に生活水準が飛躍的に向上した。しかし、アジア、アフリカ、ラテンアメリカのほとんどの地域では20世紀後半になってようやく向上していく。これが現在の格差にもつながっているという。
本書では、19世紀頃の経済格差が生まれた理由を考察していく。ガロー氏は、今日の国家間の経済格差を理解するために、経済学の統一理論といえる「統一成長理論」を作り上げた。
統一成長理論では、何万年にもわたる停滞の時代と、19世紀以降の持続的な経済成長の時代とを2つの別個の現象ととらえずに、1つの統合された総体として考える。そして、それぞれの時代をつなぐ力は何だったのかを明らかにしていく。カギとなるのが、「人的資本」への投資であるが、「教育の利益率上昇」「出生率の低下」も関わってくる。
さらに、後半では世界的な格差の謎に迫る。ガロー氏によれば「社会内部の多様性」が根本要因の一つであるという。検証のために数万年前の人類の「出アフリカ」にまでさかのぼっていく。
世界30か国で刊行される注目の1冊。知的刺激に満ちた解説に驚くに違いない。あなたも「格差の起源」をその目で確かめてみてはいかがだろうか。
■オデッド・ガロー(Oded Galor)氏プロフィール
ブラウン大学経済学教授。ルーヴァン・カトリック大学およびポズナン経済大学から名誉博士号を授与される。アカデミア・ユーロペアの外国人会員(名誉会員)。計量経済学会の選出フェロー。「経済成長ジャーナル」の編集長を務める。「統一成長理論」の創始者であり、人類史の全過程にわたる発展のプロセスの理解と、停滞から成長への移行や世界規模の巨大な格差に根深い要因がいかなる役割を果たしたかの理解に貢献してきた。
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