ミョヌラギ(嫁期)
ミョヌラギ(嫁期)。
それは、韓国において姑と舅が嫁に使う呼び名。または、嫁が婚家の家族に認められたいと思うことと、その時期を指す。
名目上は男女平等な社会生活を営んできた韓国女性は、結婚して「嫁」になった瞬間、今度は姑の支配する別世界に入っていかなければならない。
そこで待ち受けているのは、数十年前の価値観がまかり通る封建社会だ。
ピッコマの人気作品『ミョヌラギ〜嫁期〜』は、韓国女性が「嫁」になった時に直面する「悪意なき理不尽」を、ほのぼのとした絵柄でユーモラスに描いた「嫁」漫画だ。
大学の同期だったグヨンと結婚した平凡な女性・サリは、会社で主任として働く兼業主婦。家事に仕事にと忙しい日々を送っているが、何より気を払わなければならないのは姑との関係だ。
当日においしいカニ料理の店を予約し、準備万端で姑の誕生日を迎えるつもりだったサリ。そこに、義理の妹から連絡が来る。
「あ、あと~明日の朝わかめスープを作ってあげたら、お母さんきっと喜ぶと思うんですけどぉ......。でも仕事もあるから無理ですよね......?」
韓国には、誕生日にわかめスープを飲む習慣がある。夜に外食をご馳走するだけでなく、朝に伝統的な手料理をもふるまえば、姑の印象も抜群によくなるだろう、というアドバイスだ。これに対するサリの反応は――?
「どうしてそれを思いつかなかったんだろう?」と義妹からのアドバイスに感心するサリ。さっそく義母の好物だという干し鱈のわかめスープと、それにあわせるプルコギの準備をはじめる。姑の誕生日を嫁が丸一日かけて祝うのは普通のことなのだ。
さらに、「明日の朝に行けばいいのに、今日行かないと駄目なのか?」と渋る夫を押し切って、誕生日前日の夜から義父母の家に泊まり込むことを決める。姑のことをいくらでも甘えていい実の母として見る夫と違って、サリには万が一の寝坊も許されないからだ。そしてサリは思う。
「これで点数稼げたらいいな......」
家に到着すると、義父母はサリたちのことを温かく迎えてくれた。
「母さんの誕生日だからって何も前日から来なくていいのに」(義父)
「まったくお父さんたら! 私の誕生日で来てくれたのに何が前日から来なくていいよ」(義母)
サリたちが到着した時、姑は台所でメロンの準備をしていた。嫁として手伝わないわけにはいかない。「私がやります」と引き受けてみたものの、切り方がわからない。
その場で検索し、なんとかメロンを綺麗にカットしてリビングに持っていくと、夫(と義父)はソファでだらけて寝転んでいた。仕事で疲れてるからと、夫が寝室で寝始めた頃、同じく仕事で疲れているはずのサリは姑のおしゃべりに付き合わされる。話題は、学生時代の息子(夫)がモテモテだったというもの。
「小学生の頃なんて同じクラスの女の子たちが家まで手紙を渡しに来たんだから~。それにバレンタインはチョコレートをたくさん持って帰ってきたわ」
長々と続く姑の思い出話を、サリは正座で聞き続けていた――。
誰にも悪意がないのに、「嫁」にだけのしかかってくる重い負担。普通の家庭で苦しむ、普通の「嫁」の普通の苦しみに焦点を当てた作品だ。
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