東京の吉祥寺で「ギャラリーフェブ」とパン屋「ダンディゾン」を営む引田かおりさんは、高校時代のなんてことない一コマがずっと記憶に残っているという。
高校3年生の時、何かの都合でその日だけ時間割が入れ替わったはずなのに、変更前の数学の先生が教室に入ってきた。クラス全員で「絶対違います」の大合唱。結局は数学の時間だったように記憶していますが、戻って来た先生は怒り心頭、声を震わせて「世の中に絶対はありません!」と言っていたのが忘れられません。その時の私は心の中で、いえいえ先生、人は絶対死にますよと思っていました。ちょっといやな子供ですね。
そんな引田さんの新刊が6月9日に発売された。エッセイ集『青空 そよかぜ 深呼吸 気持ちのいい人生の歩き方』(大和書房)だ。彼女の暮らし方、生き方、考え方は幅広い世代から支持を集めている。
引田さんのエッセイには不思議な力がある。コラムも人気のファッションモデル・菊池亜希子さんが「パタンと本を閉じた瞬間 心がすとんと整った気がした。」と推薦する程、清々しい生き様を柔らかなのにクールに綴るところが魅力だ。
今現在当たり前に証明されている地球の自転や、病気の原因も、昔はそういう考え言い出した人が捕らえられたり処刑されたりする時代を経てきている歴史に、真実の危うさみたいなものを感じ取って、勉強にも今ひとつ身が入らなかった記憶があります。本当にそうなのかなぁと考えてしまうんです。
忙しく充実した毎日を送りつつも、たまには肩の力を抜いて「ま、いっか」と思える人生も悪くないかも。いつか死ぬのだけれど「死なないつもりで生きていく」ことをモットーにするのも新鮮に思える。そんな引田さんならではの視点が楽しい。
いつか死ぬという事実から逃れることはできません。そのことばかり考えて、その準備に追われる人生、いったい誰のためなんでしょうか? もちろん気力も体力も記憶力も低下していくことでしょう。でもね、培った知恵と工夫とユーモアで笑い飛ばすことだって可能なんです。どうせ死ぬなら、生きてるうちは死なないみたいに、年齢にとらわれず好き勝手人生を謳歌する、そういう人生を選択したいと思う次第です。
週末にのんびりと「大切な人に手紙を書くような気持ちで書いた」という本書を読みながら、気持ちのいい人生の歩き方を考えてみるのもいい。深呼吸しながら。
目次
1 生き方
2 暮らし方
3 働き方
4 愛し方
■引田 かおり(ひきた・かおり)さんプロフィール
夫の引田ターセンと共に、2003年より東京・吉祥寺で「ギャラリーフェブ」とパン屋「ダンディゾン」を営む。さまざまなジャンルの作家たちと交流し、美味しいと素敵を世に提案している。何よりも愛を優先しようとLOVE企画を発信中。著書に『「どっちでもいい」をやめてみる』ポプラ社など多数。ブログ「ふたりの光年記」で日常のいろいろを発信中。
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