大事なプレゼンや商談、はたまた就職・転職活動の面接や学校の保護者会など、人前で発表する機会を避けて通るのは難しい。どうしてもあがってしまって、苦手意識がある人も多いのでは。
『12歳から始めるあがらない技術』(秀和システム)は、小学生から読める、大人にも役立つ「あがり対策」を丁寧にわかりやすく解説した1冊だ。
著者の鳥谷朝代さんは、あがり症克服協会代表理事、スピーチ塾代表取締役などの肩書きを持ち、カルチャーセンターでの話し方講師も務める。
鳥谷さん自身、中学生のときの国語の授業をきっかけに17年間、あがり症に苦しんだ。その後、話し方講座に通って克服した経験から、かつての自分のような人の助けになりたいと考え、「あがり症・話しベタさんのためのスピーチ塾」を開校。アナウンサーや芸人から学生・主婦まで幅広く指導し、あがり症の克服へ導いた受講生は、7万人を超える。
今回は、本書の第2章「おどろくほど簡単にあがらなくなる」から、大人でも使える、人前で話すときの緊張を和らげるためのコツを2つ紹介したい。
1つ目のコツは、「話すスピードを落とす」こと。当たり前のように思えるが、実際にやるのはなかなか難しい。本書では、普段の1.5倍くらいの時間をかけて話すのを目安にするようアドバイスしている。
でも、自分ではゆっくり話しているつもりなのに、実際はそこまで変わっていない......そんなときはどうすればいいだろう。
鳥谷さんがおすすめしているのは、話している自分の様子を録画・録音してみること。これなら、自分の感覚ではなく客観的に速度や時間をチェックできる。
「どのくらいゆっくりがよいかというと、1分間に300文字くらいが理想です。話すことのプロであるテレビのアナウンサーも、これくらいのスピードで練習しています」
日常会話よりもかなりゆっくりに感じるが、人前で発表し聞き取りやすい速度としてはこのくらいがちょうどいいとのこと。スピードを落として話す準備をしておけば、緊張もマシになるはずだ。
2つ目のポイントは、「場の沈黙を怖がらない」こと。緊張しながら人前で話していて、ふと言葉が途切れたときにその場が「シーン」となる瞬間を怖く感じてしまう人は多いのではないだろうか。
鳥谷さんは、そんなときに聴衆の目線を冷たく感じなくていいと語る。ただ黙ってきちんと話を聞いてくれているか、逆にあまり興味がないだけのことがほとんどだそう。
では、どうすれば沈黙が気にならなくなるのか。そこで意識したいのが、「間」だ。
「おしゃべりが上手な人っていうと、とめどなく言葉がでてきて、スラスラと流れるように話す人のことを想像するかもしれないけど、じつはその話し方って、聞いている人にとっては、聞きとりやすい話し方とはいえないのです」
立板に水のようにスラスラ話そうと思わなくていい。言葉が途切れてしまっても、あえて「間」ができて自分の話し方がより良くなる......くらいの気持ちで臨めば、場の沈黙も怖くなくなるのでは。
本書では、話すときの具体的なスピードや間のあけ方のほか、緊張をほぐすための体操や前日の過ごし方まで、発表に苦手意識のある人がぜひ押さえておきたい「あがらない」コツを豊富に紹介している。
ピアノの発表会や面接、プレゼンなど、あらゆる場面で使えるコツが満載。大事な本番を控えていて不安......というときも、安心できるお守りのような存在になってくれるはずだ。
(犬飼あゆむ/ライター)
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