厚生労働省の研究では、2025年には高齢者の5人に1人が認知症を発症すると言われている(※)。家族やあなたの身近な人がいつ認知症になってもおかしくはないのだ。(※厚生労働省「新オレンジプラン」「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」より)
さらに、コロナ禍で認知症患者が急増するという懸念も。外出自粛によって体を動かすことが少なくなると、高齢者は筋肉や関節などが萎縮して、体の各部位が老衰し始める。機会と意欲の減退が、大きな問題となっている。
「なぜ、同じものをいくつも買ってしまうの?」
「怒りっぽくなったのは、なぜ?」
「どうして家族がお金を盗ったって疑うの?」
認知症患者の介護に悩むあなたの疑問を解決してくれるのが、『マンガでわかる「認知症の人には、こんなふうに見えています」』(宝島社)だ。本誌は「認知機能が低下している人の視点」から、当事者の言動の意図をマンガ化したものだ。
監修者は、1万人以上の脳を診てきた脳内科医の加藤俊徳さん。次のように語っている。
「明日はわが身かもしれない病気、それが、認知症です。年を重ねれば重ねるほど認知症になるリスクが上昇します。もし家族が認知症と診断されても、認知症の人の脳の世界を少しでも想像し理解できれば、やってあげられることが分かります。理不尽に思える振る舞いに頭を悩ませることもあります。そんなとき、相手の気持ちを汲み取りながら、介護の負担も軽くすることができます。」
本誌では、認知機能が低下している人の視点から、認知症患者のよくある言動をわかりやすくマンガしている。症状を初期から重度までのステージに分け、その理由や対応策を1万人の脳を診断してきた加藤先生が解説している。
軽度では、「作業をこなす能力」が衰える。作業を行う時の手順を間違えたり、わからなくなったりする「実行機能障害」によって、「自分が買ってきたもの」と「これから買うべきもの」の区別がつかなくなることも。「冷蔵庫にマヨネーズが2つも?!」という「あるある」は、こうした理由から起きる。
中程度になると、判断力が低下する。認知機能が低下し、不安や緊張が高まることで、甘えたり、世話をせがんだりといった振る舞いに出る人もいる。判断力が低下するため、羞恥心もなくなっている。「看護婦さんのお尻を触ったり、エロトークで周囲を困惑させたり」といった困った行動の理由はこれだ。ただ叱責するだけでなうk、散歩などで外に連れ出すことで、関心を外に向けるとよいという。
重度になってくると、そこにはないものが見える幻視や錯覚が起きる。これは、レビー正体型認知症の典型的な症状だ。脳の中で視覚を司る領域が萎縮し、視覚に異常が生じてしまうことが原因。まずは部屋で見間違いやすいものは極力なくし、照明にも気を遣うなど、環境を整えることから始めるとよいという。
ほかにも、認知症患者家族に役立つ情報をまとめた「認知症のサポートガイドブック」、40~50代から始めたい「脳の強化法」なども掲載しているので、本棚に入れておきたい心強い一冊だ。
また、すぐに取り組める予防法も掲載しているので、さっそく取り入れてみよう。
・絶対ノー残業デーをつくる
・10分間の昼寝をする
・歌を歌いながら料理をつくる
・階段を1段とばしで下りる
・創作料理をつくってみる
・自分の目標を親にメールで伝える
・街で見かけた人の心理を推測する
・おしゃれな人の服装をまねる
■加藤俊徳(かとう としのり)さん プロフィール
脳内科医/医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社「脳の学校」代表。昭和大学客員教授。専門はMRI脳画像診断、発達脳科学、発達障害、認知症。脳番地トレーニングの提唱者。独自開発した加藤式MRI脳画像診断法を用いて、これまで1万人以上を診断・治療。『1万人の脳を見た名医が教える すごい左利き「選ばれた才能」を120%活かす方法』(ダイヤモンド社)、『名医が実践する 脳が変わる超・瞑想』(サンマーク出版)、『記憶力の鍛え方』(宝島社)など著書多数。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?