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高齢の親に運転をやめさせるには? 200人に免許返納させたノウハウを伝授!

高齢ドライバーに運転をやめさせる22の方法

   高齢ドライバーによる事故のニュースを見ると、自分の親を思い浮かべて心配になる人も多いだろう。免許を返納してほしくても、本人が拒否する場合もある。車がなければ生活がままならない、というケースも多いだろう。とはいえ事故を起こしてからでは遅い。どのように説得すると良いのだろうか。

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   本書『高齢ドライバーに運転をやめさせる22の方法』(小学館)は、身近な人の免許返納の説得で悩んでいる方に読んでもらいたい1冊だ。

   著者の川畑信也さんは、年間200人以上もの高齢ドライバーに運転をやめるようにすすめてきた認知症の専門医で愛知県公安委員会認定医だ。本書では、川畑さんが体験してきた様々な高齢ドライバーへの対応を、コミックと解説という構成で、分かりやすく紹介していく。

   まずは、身の回りの高齢ドライバーのヒヤリとする運転をチェックしていこう。あなたが気になる高齢ドライバーは、次の項目のうちいくつあてはまるだろうか。

・急ブレーキや急発進の回数が増えた
・車庫入れでぶつけることが多くなった
・事故を起こしたことを忘れている
・車のキー、運転免許証をいつも探している(頻繁に置き忘れる)
・シートベルトの締め忘れ、ウィンカーの出し忘れが多い
・運転中、慣れた道でも戸惑ったり、迷子になったりする
・縁石に乗り上げる、こする、ぶつけるなど自損事故を起こす
・信号の見落とし、一時停止を忘れる
・大きな駐車場で自分の車の駐車場所をしばしば忘れる
・バックの駐車を何度もやり直している

   いくつあてはまっただろうか。実は2つ以上あてはまると認知症の疑いがあり、運転に必要な機能も低下している可能性があるという。思い当たる場合は、免許返納を検討し始めても良さそうだ。

「なぜ運転をするのか」を考える

   では、本書に掲載されている高齢ドライバーの免許返納事例を1つ紹介していこう。

   高齢ドライバーの鈴木寅蔵さんは90歳。認知症の妻と二人暮らしのため、寅蔵さんがひとりで近隣のスーパーに買い出しを担当している。その際に、車で移動をするという。

   しかし、妻のために自分がしっかりしなければならないというストレスから、買い物の際にレジで精算を忘れるトラブルを5度も引き起こしてしまう。娘の恵子さんが心配して車を妹に預けるも、寅蔵さん本人が納得していないので効果はなかった。

「もうお父さん!!本当にもう車の運転やめてよね!!」
「まだまだ乗るぞ!」
 ...もうどうしたらいいのやら...(涙)

   このケースでは、「寅蔵さんの代わりに恵子さんが買い物をする」という提案したという。寅蔵さん宅に頻繁に様子を見に行く恵子さんは、サポートしやすい立場にあり、その役目を快諾。さらに、寅蔵さんに介護認定を受けてもらい、買い物をホームヘルパーなどの一部公的サービスに代行してもらうことも提案したという。

   最終的には、買い物の時には恵子さんが運転をすることに。寅蔵さんも納得し、運転免許の返納手続きも行われたという。

   この事例では、まわりが寅蔵さんをサポートすることで「買い物に行く」理由を解消することに成功したという。免許返納の説得には、「高齢ドライバーがなぜ運転をするのか」という視点で寄り添って問題解決を進めることが大切だ。また、免許返納後の生活のサポートも含めた対応をしていくのが良いという。

   他にも「プライドが高くて運転をやめません」「警官に保護されても運転をしています」「車で遊びに出かけて一方通行を逆走」「運転をあきらめてもらう理由が見つかりません」など、具体的な事例が紹介されている。身近にありそうな事例ばかりで参考になる。

   大切な人の気持ちを傷つけたり、不便な生活を強いたりしたくはないが、それ以上に交通事故で大ケガをしたり、加害者になってしまったりしてほしくない。免許返納の説得が必要な時には、しっかりと向き合っていきたい。


※画像提供:小学館


 
  • 書名 高齢ドライバーに運転をやめさせる22の方法
  • 監修・編集・著者名川畑信也 著
  • 出版社名小学館
  • 出版年月日2019年10月30日
  • 定価1,320円(税込)
  • 判型・ページ数A5判・128ページ
  • ISBN9784093106313

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