「貯蓄ゼロ」の家庭は40代で35.5%、50代で41%......そんな衝撃的な数字を紹介しているのが、『知らないとヤバい 老後のお金戦略50』(祥伝社)だ。
本書は、年金・投資・節約・マイホーム・働き方の観点から老後資金に困らないための策を解説した一冊。冒頭であげたような厳しい状況をふまえ、どうすれば「豊かな老後」を手にできるのか、必要な知見を授けてくれる。
経済ジャーナリストである著者の荻原博子さんは、難解な経済とお金の仕組みをわかりやすく解説することに定評のある、家計経済の第一人者である。
今回は、老後にもらえる年金額を増やす方法など、2つのお金戦略を本書から抜粋して紹介したい。
最初に押さえておきたいのが、「付加年金」だ。
年金をもらうようになるのはまだ少し先の話......と思う一方で、国民年金の給付額は、会社員が加入している厚生年金に比べると心もとない。老後の生活資金には足りないのではと、不安になってしまう。
そこで、国民年金を多くもらえる「裏ワザ」として本書で紹介されているのが、「付加年金」だ。これは、国民年金の保険料に月額400円を上乗せして支払う年金のこと。これによって、将来もらう基礎年金に200円がプラスされるのだ。
たとえば、10年間、月400円の付加年金を支払うとすると、400円×12か月×10年=4万8000円を支払うことになる。その結果、老後にもらう年金が1年あたり2万4000円増える。
ポイントは、付加年金は死ぬまで毎年もらう年金に上乗せされる点だ。多く支払った4万8000円は2年で元が取れて、それ以降は毎年、2万4000円ずつ得をするというお得な制度である。
「年金をもらい始めてから最初の2年で元を取り、さらに10年経つと24万円、20年経つと48万円と、長生きすればするほどおトクということになります」
人生100年時代とも言われる超高齢化社会で、利用しない手はないと言っていいだろう。
付加年金は将来もらえる年金を増やすための戦略だが、もっと直近で、今年度に払ったお金が戻ってくる方法もあわせて知っておきたい。
確定申告を利用して、医療費控除を受けるという方法だ。会社員でも確定申告をすることで、払い過ぎた税金を取り戻すことができる。そのうち、年間の医療費が10万円を越えたら対象になる「医療費控除」の制度は知っている人も多いだろう。
本書では、意外と知られていないこととして、「親の介護費用も医療費控除の対象になる」点について解説している。
具体的には、以下のような費用が当てはまる。
・訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護
・訪問リハビリテーション
・居宅療養管理指導(医師等による管理・指導)
・通所介護(デイサービス)
・通所リハビリテーション(医療機関でのデイケア)
・短期入所生活介護、短期入所療養介護(ショートステイ)
・認知症対応型共同生活介護(認知症老人グループホーム)
・特定施設入所者生活介護(有料老人ホーム等)
・福祉用具貸与
介護保険でまかなえる部分は対象外だが、自己負担分については医療費控除の対象になるのだ。「医療費」と聞くと、自分や家族が病院にかかった費用のみをイメージしてしまうが、上記のような親の介護費用を含めれば、年間10万円を超えることも多くあるのでは。
現在、親を介護している人はもちろん、これからその可能性がある人もしっかり把握しておきたい。
本書では、今回紹介したようなすぐに自分の生活に活かせる「お金戦略」を計50個、わかりやすく解説している。老後資金が不安という人は、手にとって損はない1冊だ。
(文・犬飼あゆむ/ライター)
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