がん治療の副作用と聞くと、脱毛や吐き気などを思い浮かべるが、ほかにも皮膚が乾燥してひび割れる、手のひらや足の裏に水ぶくれができる、爪の周りが腫れて痛みをともなうなど多様な症状が現れる。がん治療を受けながら仕事を続けたり家事をしたりする人も多く、「足の裏が痛くて歩けない」「指先が腫れて、着替えやスマートフォンの操作がつらい」といった症状は深刻だ。
そうした皮膚障害に悩む人のために、予防法やセルフケアの方法を紹介する『がんサバイバーのための皮膚障害セルフケアブック』(小学館)が発売された。
日本人の2人に1人ががんにかかると言われるが、皮膚障害に関する一般向けの書籍はこれまでなく、相談先に困る人が多かったという。本書では、皮膚障害の発症のしくみや症例をイラストや写真でわかりやすく解説していく。
例えば、「手足症候群」は代表的な皮膚障害で、手のひらや足の裏の腫れ・痛みが特徴。重症度に応じたケアの方法や、予防のポイントなども具体的に紹介している。
ほかにも、「育毛剤や美白化粧品を使っても大丈夫?」「ウィッグをつけた自分にどうしてもなじめない」「近所や職場の人に、皮膚障害のことをどのように伝えればよい?」「眉毛が抜けたので、アートメイクをしてもいい?」など多くの人が悩む疑問に答えていくコーナーもある。
「脱毛に備えて、髪の毛はそってしまった方がいいですか?」という質問には、「感染症のリスクがあるので、髪の毛をそることはやめましょう」と答えている。カミソリやバリカンで髪の毛をそると、頭皮に傷がつくおそれがあり、そこから感染症にかかるリスクがあるという。
「抗がん薬治療や放射線療法が始まれば体の抵抗力は下がりますから、感染症リスクがとても高くなり、危険です。
また、短すぎる髪が抜けると、洋服やまくらなどに入り込んでチクチクとした刺激になります。短くするとしても、安全で、処理しやすい長さはあったほうがいいでしょう。」
さらに、シャンプーの選び方や、髪や頭皮の洗い方も、ていねいに説明している。
がんが他人事ではない時代。ウェブで体験談を探すのもひとつの方法だが、基礎知識から予防法、セルフケアの方法まで体系的にまとまっている本書の存在を知っていれば、いざという時に心強い。
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