たった10秒、されど10秒。10秒間の言葉選び次第で、相手からの印象を180度変えることができる。10秒で心をつかむ言葉選びを学べるのが、『10秒で好かれるひとこと 嫌われるひとこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)だ。著者は、累計4万人のビジネスリーダーとエグゼクティブ、首相経験者を含む56名の国会議員等のスピーチ指導をおこなってきた心理学者の佐藤綾子さん。具体的な場面ごとに、実践的なフレーズを紹介している。
「10秒」と聞いて、あなたは長いと感じるだろうか。短いと感じるだろうか。心理学者のT.ウイルソンの研究とその後の脳科学者のJ.メディナの研究によると、人間はたった1 秒間で視覚からだけで1000万要素を取り入れ、そのうち40要素を脳で処理できるそうだ。つまり、10秒間だと1億もの要素を目から取り入れ、400もの要素を脳で処理していることになる。
一方、10秒間に伝えられる言葉はどうだろうか。10秒の間に人間は約44文字(漢字、ひらがななど区別なく句読点含む)を話せることがわかっている。聞く側は目からの情報だけでも400の要素を処理しているのに、話す側は44文字しか話せない。この44文字をいい加減に選んでしまうのは、もったいないとは思わないだろうか。
本書では、相手に嫌われる言葉選びと好かれる言葉選びを、それぞれ10秒間で話せる44文字前後のフレーズで紹介している。
(例1)悩んでいる夫に声をかけるとき
〈10秒で嫌われるフレーズ〉
会社で何かやらかしたの? あなたが悩むなんてめずらしい。どうしたの?(34文字)
気遣っているように見えるが、いきなり「何かやらかした」というネガティブな予測を立てるのは相手の機嫌を損ねる。また、「あなたが悩むなんてめずらしい」という、性格の勝手な決めつけもよくない。
〈10秒で好かれるフレーズ〉
ねえ、あなたの様子がいつもと違うからなんだか心配なの。私にわかりそうなら聞いてもいいかしら(45文字)
相手が何も言わず、悩んでいる気配だけを発しているなら、あなたがどうかではなく「私が心配だ」というアイメッセージで伝えるのが好ましい。また無理に聞き出そうとせず、相手が話すか話さないかを選択する余地を残してあげるとよい。
(例2)ライバル視している相手から成功談を聞かされたとき
〈10秒で嫌われるフレーズ〉
やったね! それはすごい快挙だね。僕もうれしいよ(23文字)
過大に褒めたり、「自分もうれしい」などと心にもないことを言ったりすると、実際の感情と言葉にズレが生じ、ぎこちない表情や口調になるおそれがある。本心がバレる危険性があるので要注意。
〈10秒で好かれるフレーズ〉
そんなことができるなんて本当にうらやましい!(22文字)
「うらやましい」というのは、ライバルに対する本当の感情の一部のはず。嫉妬を隠そうとするよりも、あえて本心をチラ見せするほうが無理なく自然に伝えられる。「うらやましい」と言うのも悔しいなら、「それはよかった」とさらりと済ませてしまうのも一つの手。
このほか、179の場面で嫌われる・好かれるフレーズが解説されている。あなたも日々、貴重な10秒で失敗してしまっているかもしれない。本書でコツを学び、ここぞというときの10秒をものにしよう。
【目次】
第1章 相手を動かすお願い、交渉、提案
第2章 関係を修復する謝罪、挽回
第3章 言いにくいことの伝え方
第4章 インパクトを与える自己アピール
第5章 相手の気持ちに寄り添う共感
第6章 やる気を引き出すほめ方
第7章 次につながる叱り方
第8章 本音を引き出す傾聴のひとこと
■佐藤綾子(さとう・あやこ)さんプロフィール
長野県生まれ。信州大学教育学部卒。ニューヨーク大学大学院、上智大学大学院、立正大学大学院修了。日本大学藝術学部教授を経て、ハリウッド大学院大学教授、㈳パフォーマンス教育協会 理事長、㈱国際パフォーマンス研究所 代表。自己表現力養成セミナー「佐藤綾子のパフォーマンス学講座」主宰。パフォーマンス心理学の第一人者として、累計4万人のビジネスリーダーとエグゼクティブ、首相経験者含む56名の国会議員等のスピーチ指導をしている。 著書に『人間関係が得意になる本 マンガ パフォーマンス学入門』『小泉進次郎の話す力』など。本著含め著作197冊、著作累計325万部。
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