兵庫県宝塚市と東京日比谷の2拠点に専用の劇場を所有している宝塚歌劇は、100年以上の歴史を持つ。「ベルサイユのばら」や「エリザベート」など時を経てもなお色褪せない名作から「ルパン三世」などの新しい試みまで、多くの作品でファンを魅了し続けている。
そんな宝塚歌劇をもっとディープに楽しむためにチェックしておきたい『歌劇とレビューで読み解く 美しき宝塚の世界』(立東舎)が2月19日に発売された。
そもそも「レビュー」とは、
宝塚を観劇したことがない人でも、レビューの概念を知らない人でも、「タカラヅカ」と聞けば、男役の存在の他に、大きな羽根を背負っているスターの姿やラインダンス、電飾が光る大階段などを思い浮かべるのではないだろうか。それらは全てレビューと呼ばれる歌と踊りをメインにした演目のワンシーンである(本文より)。
を指している。本書では、美しく煌びやかな「レビュー」にフォーカスし、宝塚研究で博士号を取得した著者が、様々な観点から魅力と真髄に迫る。宝塚歌劇の歴史や美学を学んだ著者だからこそ可能な初心者にも分かりやすい解説が特徴である。
劇団の遍歴や演出の特徴を知ることで、観劇がもっと楽しくなるはず。
予習も、観劇後の余韻に浸ることもできる本書をゲットして、もっと宝塚歌劇への愛を深めていこう。
著者は、「沼に落ちる」という表現は、宝塚に魅せられてしまった人々を表すのにぴったりの言葉だという。それは、「見る者の心を熱くし、夢のようなひとときを提供する最高に贅沢なエンターテイメントである宝塚には、底なしの魅力があるからだ」と語る。
そして、宝塚が観客の心を掴んで離さない理由を、「愛とロマンに溢れたドラマティックで深みのある芝居、踊りと歌で綴られる豪華華麗なレビュー/ショー、専属オーケストラによって奏でられる多種多様な音楽に、一幅の絵のように美しく、スケールの大きい舞台空間、居心地の良い劇場、品格を持って日々精進を重ねるスターの姿など、様々な要素が総合的に重なり合っているから」という。
【目次】
1 「夢の世界 タカラヅカ」の誕生
・夢の世界への招待
・宝塚少女歌劇の結成
・レビュー時代の到来
・宝塚歌劇らしさをめぐって
2 「演劇」としての宝塚歌劇
・西のムラ、東の東宝
・国民劇とは何か
・《ロミオとジュリエット》の愛と死
3 《ベルサイユのばら》の衝撃
・《ベルサイユのばら》舞台化への道
・宝塚版《ベルばら》の演出技法
・《ベルばら》から派生する世界
・作品に込められたメッセージ
4 レビューとタカラジェンヌ
・宝塚とレビューの関係
・レビューと演出
・タカラジェンヌの輝き
・トップスター、そして退団
付録 宝塚名作紹介
一度は宝塚の舞台を見たいと思っている方にも、おすすめの一冊である。老若男女どの層でも楽しめる舞台づくりに主眼を置いている宝塚のステージを、家族やパートナーと楽しんでみるのかいかが。
■石坂 安希(いしざか あき)さんプロフィール
東京生まれ。早稲田大学演劇博物館招聘研究員。2017年、早稲田大学大学院演劇映像学コース日本演劇学にて博士号(文学)を取得。論文のテーマは、レビューを中心とした戦前の宝塚歌劇の演出様式について。演劇学・舞踊学から宝塚を考察した博士論文としては世界初となる。宝塚、ダンスの講座を大学、百貨店、サロンなどで行うほか、NHKのドキュメンタリー番組の考証協力、鹿鳴館・帝国劇場の歴史展示を手掛けるなど多方面で活躍。
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