我慢して仕事・家事、やりたいことができない、心が休まらない、我慢しすぎて後悔、気遣いばかりで疲れる、体調を崩しがち、わかってもらえない、頑張りすぎる......「その我慢、やめられます!」。
心療内科医・鈴木裕介さんの『我慢して生きるほど人生は長くない』(アスコム)は、我慢しすぎて辛くなってしまった人に読んでほしい1冊。
さまざまな「生きづらさ」を抱える人たちの話を聴いてきた鈴木さん。多くは、病気などによって本来の「生きる力」が一時的に失われているケースだが、それとは毛色の違う、永続的で深刻な「生きづらさ」を抱えているケースも少なくないという。
「『他人の価値観やルール』『他人の感情』『他人に奪われる時間』を手放し、『自分の価値観やルール』『自分の感情』『自分の時間』を発見し取り戻すための方法をお伝えしたいと思います。それはつまり、他人によって必要以上に我慢をさせられることなく、真に自分らしく生きていくための方法であるともいえます」
たとえば、ある女性患者のケース。
彼女は「恵まれた家庭」に生まれ、「一流大学」を卒業。誰もがうらやむような経歴の持ち主だった。しかし、当の本人は自己肯定感を持てず、「自分に自信がほしくて、努力してきました。(中略)今も、振り落とされないように必死でしがみついています」と涙ながらに言った。
これまでの人生で連綿と起こってきた出来事に対して、自分なりの解釈をつけていくことを「自分の物語化」と呼ぶそうだ。そうすることで、挫折から前向きに立ち直ったり、成功体験を自信に変えたりすることができるが、彼女は「自分の物語」を生きられていなかったのだという。
「ありのままの自分の人生を『これでいい』と肯定できないと、自分以外の誰かの価値観やルールを中心に生きざるをえません。自分の物語を作ることは、自己肯定感の問題の中核にあると、私は考えています」
「自分の物語」を編集するにあたって、もっとも警戒すべきは「だからわたしはダメなんだ」病(DWD病)。どれほど高難度の目標を達成しようとも、「だから自分はダメなんだ」という結論に至る解釈を見つけてしまうのがDWD病なのだとか。
そして「自分の物語」を作るうえで、もっとも重要なのは「自分の感情に素直になること」。たとえネガティブでも、きれいでなくても、どんな種類の感情であっても。
「自分の弱さ、いびつさ、未熟でかっこ悪いところを認めて、それをも引き受けた『嘘のない物語』は、ありのままの自分を『それでもいいよ』と肯定し、永きにわたって人生を支えてくれる『しなやかな強さ』をもたらしてくれるはずです」
このほか、「無茶な要求、もちかけてくる他人からのラインオーバーに敏感になろう」「人生は『ほどほどにポンコツ』がちょうどいい」「心地良く過ごすために率先して嫌なことから逃げよう」......など、「もっと楽に生きるための28のこと」を丁寧に綴っている。
■目次
Contents1 我慢せず生きていくための公平で安心な人間関係の作り方
Contents2 会社や社会に疲れてしまった人への処方箋
Contents3 思い込みを捨て、自分らしい人生を取り戻す
Contents4 誰にも振り回されず、自己肯定感を保つには
Contents5 「心地良くない」「楽しくない」と感じたものは捨てていく
まず、本書のタイトルに惹かれた。心を楽にする本はいろいろあるが、これは埋もれないだろう。言葉の1つ1つがじわっとしみこんで、読んでいて心地よかった。
本書は、2020年に刊行された『NOを言える人になる 他人のルールに縛られず、自分のルールで生きる方法』(アスコム)を改題し、加筆修正したもの。
■鈴木裕介さんプロフィール
内科医・心療内科医。2008年高知大学卒。内科医として高知県内の病院に勤務。研修医時代に近親者の自死を経験。そうしたことが二度と起こらないようにと、研修医のメンタルを守る自助団体「セーフティスクラム」を同級生と立ち上げ、一般社団法人高知医療再生機構で医療広報や若手医療職のメンタルヘルス支援などに従事。15年よりハイズ株式会社に参画、コンサルタントとして経営視点から医療現場の環境改善に従事。18年「セーブポイント(安心の拠点)」をコンセプトとした秋葉原内科saveクリニックを高知時代の仲間と開業、院長に就任。人々が持つ「生きづらいとう苦しみ」「根源的な痛み」「喪失感」に寄り添い、SNSや講演などでメンタルヘルスに関する発信も行う。
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