コロナ禍や長引く不況、格差の広がり。仕事を失ったり離婚をしたりして、経済的に追い詰められる女性が増えている。40~50代ともなると、老後の働き方やお金のことも考えねばならない年代だ。そんな「今」の悩みにぴったりな本が『女性のためのお金の不安、仕事のもやもや相談Book』(朝日新聞出版)だ。
ファイナンシャルプランナーである大竹のり子さん、キャリアコンサルタントの相田良子さんがそれぞれお金と仕事の悩みに一問一答形式で回答している。
・夫の給料はこれ以上増えないだろうし...うちはどうしてこんなにお金がないの?
・老後資金2000万円必要なんて、絶対無理。宝くじ当たらないかな...
・お迎え行って、買い物行って、ごはん作って、食べさせてお風呂...ワンオペ生活はもう限界!
困りごとは人それぞれ。本書では、自分が抱える悩みに合わせた項目を選べるようになっている。お金と仕事は密接に関わっているため、1つ解決すれば芋づる式に解決していくこともあるようだ。
「老後2,000万円問題」「子どもを育てるには1人につき2,600万円かかる」などの話題を耳にすると、漠然とした不安にかられる。そんなときは、まず自分が何に不安を抱いているか一度具体的に洗い出してみよう。さらに、この先のライフプランを描いておくことが大切だ。例えば、「子どもを私立の中高一貫校に入学させたい」「」「老後は夫婦で海外へ移住したい」など。その上で、家計の現状把握と長期的に必要な金額を知ることに努めよう。
「老後2,000万円問題」に不安を抱いている人は多いのではないだろうか。現在、年金を受け取っている人の平均月額は、老齢厚生年金で14.6万円、老齢基礎年金(国民年金)で5.6万円ほどだという。しかし、今の30代、40代が年金を受け取る頃になると、受け取り開始年齢の引き上げや受給額の減額などの可能性もある。しかも、総務省が高齢無職世帯の1カ月の収支平均を調査したところ、夫婦世帯、シングル世帯ともに約3万円の赤字が出ているという。
「老後、年金だけで生活できるの?」という質問に対して本書では次のように回答している。
不可能ではありませんが、難しいでしょう。住居費の対策がカギです。
先述の総務省の調査では、住居費はほぼかからないと想定しているため、住宅ローンの返済が終わっていない人や、借家で家賃を払い続ける必要のある人は、さらに厳しい状況が予想される。老後資金を貯めるためには、計画的に貯金をしたり、iDeCoや財形年金貯蓄などで「自分年金」を作っておくことが必要となる。
また、国や企業が実施した子育てと教育にかかるお金の実態調査によると、子どもを1人育てるのに生まれてから自立するまでにおよそ2,600万円かかると言われている。しかも、この金額はすべて国公立の学校に行った場合で、その学費は約1,000万円とされている。すべて私立に行った場合の学費は約2,150万円と倍以上になるとのこと。本書では学費の貯め方のコツも紹介されている。まずは児童手当を貯金に回すことから始めてみよう。これで中学卒業までの15年間で約198万円貯まるようだ。
他にも「親の介護費用って誰が払うの?」や「毎月お金が残らず、貯金ができません」などの質問に答えている。
子育てや家事との両立、人間関係など働きにくさを感じている女性は多いだろう。今後働き方で重要になってくるのは「柔軟性」だと本書では指摘している。
同じ女性でも仕事へのスタンスはさまざまなので、働きにくさについて「こうすれば解決」という共通の方法を提示することはできません。1つ言えるのは、「柔軟さ」が強みになるということ。ライフステージに合わせて働き方を変えるのは自然なことです。
正社員、派遣社員、契約社員、フリーランスなどなど働き方はさまざまだが、ライフステージや環境に合わせて雇用形態を変えるのもカギとなりそうだ。ただ、置かれた環境や事情によっても良い働き方は変わるため、一概に答えるのは難しいようである。本書などを参考に、落ち着いて自分の働き方と向き合う時間をとりたい。
巻末には、仕事選びに悩んでいる方向けにおすすめ職業をピックアップした「これからの職業図鑑」も掲載している。本書は先行きの見えぬ時代の「転ばぬ先の杖」の役割を果たしてくれそうだ。
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