「なんでちゃんと勉強しないの!?」「なんで宿題やらないの!?」「いい加減にしなさい!」......。こうしたセリフが毎日のルーティンになっているご家庭も多いのではないだろうか。
しかし、怒鳴りつける「しつけ」は学力アップどころか、心の健康にも悪影響を及ぼしかねないという。一体なぜこうなってしまうのか?
菊池洋匡さんの著書『「しつけ」を科学的に分析してわかった 小学生の子の学力を「ほめる・叱る」で伸ばすコツ』(実務教育出版)は、その原因・対策を考えることをテーマにしたもの。「いつも子どもに怒ってばかり......」とお悩みの親御さん必読の一冊。
■目次
第1章 子どもの「自己客観視する力」をサポートしよう
第2章 理性的な行動を取れる子になるコミュニケーション法
第3章 学力アップにつながる子どものやる気
第4章 学力アップにつながる子どものマインドセット
第5章 子どもを伸ばす親のマインドセット
第6章 「1on1トーク」で子どもの行動を振り返る
特別付録 叱り方の失敗あるある
本書は、累計7万部を突破した「○○を科学的に分析してわかった」シリーズ第3弾。第1弾『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』、第2弾『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』に続く本書は、「科学的に正しいほめ方・叱り方」にフォーカスする。
「何度も叱る羽目になっているということは、効果がないことの証なわけですね。(中略)結果を変えたいのであれば、行動を変える必要があります。つまり、子どもへの働きかけ方を変える必要があるのです」
「なんでちゃんと勉強しないの!?」......。一見、疑問文のこのセリフ。じつはただの非難(または侮辱)になってしまっているという。たしかに、親は怒りに任せて(半ばストレス発散で)言いがちであり、子どもからの明確な答えを期待しているわけではない。
では、親が怒って子どもの行動を無理やり矯正するのではなく、子どもが自らの意志で適切に行動できるようになるには、いったいどうしたらいいのか。それは、正しい「価値判断の基準」を与えることだという。
「目に見える結果や行動は氷山の一角で、その下には目には見えないその子の性格や価値観があります。つまり、本質的な解決のためには、子どもの性格や価値観の形成を助ける働きかけをする必要があるのです」
この「価値観の形成を育てる働きかけ」というのが、「科学的に正しいほめ方・叱り方」としている。
たとえば、子どもが失敗したときには怒りの感情をぶつけるのではなく、「考えさせる問い」を投げかける。「なんでちゃんと勉強しないの!?」という非難はNG。「ちゃんと勉強できなかった理由は何だろうね?」と問いかけるのがいいそうだ。
「子どもの性格や考え方が変われば、行動が変わります。行動が変われば、結果が変わります。(中略)そんな好循環を生み出す最初のきっかけが、あなたの行う『科学的に正しいほめ方・叱り方』です」
出版社の公式サイトでは、本書の試し読みとともに、本書の紹介動画「スタンフォード大学の研究でわかった 子どもをうそつきに変える間違った褒め方」を視聴することができる。
その実験では、はじめに小学生400人に図形パズルをさせた。終了後、実際の点数にかかわらず、全員に「80点」と伝えた。そのとき、あるグループには「よく頑張ったね」と「努力」をほめ、別のグループには「頭がいいね」と「才能」をほめた。
すると、「努力」をほめられた子どもと「才能」をほめられた子どもでは、次に簡単なパズルと難しいパズルのどちらに挑戦するか、最初のパズルと同じ難易度のパズルをやってどれだけ点数が上がるか、自分の点数を正直に自己申告するか、それらに違いが見られたという。
「『子どもに取ってほしい結果』ではなく、『子どもに取ってほしい行動』を考えてください。それができたときにはほめて、できなかったときには叱るようにしましょう」
毎日1回は必ず怒ってしまう、という親御さんも多いのではないだろうか。しかしそれは、「子どもが何度も失敗を繰り返しているのと同じように、叱る側も子どもの行動改善に何度も失敗し続けている」とズバリ指摘している。
本書をきっかけに、「感情的」ではなく「科学的」な「ほめ方・叱り方」を実践していきたいところだ。
■菊池洋匡さんプロフィール
中学受験伸学会代表。算数オリンピック銀メダリスト。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科卒業。10年間の塾講師歴を経て、2014年に中学受験専門塾伸学会を自由が丘に開校。「自ら伸びる力を育てる」をコンセプトに、「ホームルーム」という独自の授業を実施。スケジューリング、PDCAというセルフマネジメントの技術指導に加え、成長するマインドセットのあり方を育てるコーチングも行う。
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