「心がふっと軽くなる」――。
本書『usaoの先生日記』(東洋館出版社)は、Twitterで話題の小学校教員・usaoさん(@_usa_ooo)のコミックエッセイを書籍化したもの。現代のリアルな「先生」の姿が、多くの共感を呼んでいるという。
大学を卒業した途端に「先生」と呼ばれ、何十人もの子どもたちの前に立ったときの戸惑い。子どもたちの笑顔であふれる日常。自信をなくし、不安で胸がいっぱいになる夜。そして、突如決まった臨時休校。
いろいろあっても、また明日も「先生」をがんばれるのは、子どもたち、同僚、家族が自分を励まし、元気をくれるからだという。
「なやみ、よろこび、泣き、笑い......ともあれ日々は続いてく」
「絵を描くのは趣味。私にとってはカラオケみたいなものなんです」。usaoさんは、その日の出来事を書きとめたり、気持ちを整理したりするために漫画を描いていた。
それをTwitterにアップしたところ、「先生って、裏側ではこんなことを思っていたんだ!」「こんなことで悩んでいるのは自分だけだと思っていたけれど、そんなことないって分かって気持ちが楽になりました!」など、驚きと共感の声が寄せられたという。
新卒採用の場合、22歳で教壇に立つことになる。大学を卒業して間もない、社会人1年目。まだまだ分からないことだらけ、不安で仕方がない。それでも、30人もの子どもたちから「先生」と呼ばれる。「『先生』としてふさわしい人になりたい」。そんな思いで、「先生」は懸命に子どもたちと向き合っている。
「私は子どもたちにとって、いい『先生』をやれているんだろうか」「みんなを笑顔にしたい、つらい人を救いたい......。でも、追いつかない自分がいる」。そう自問自答を繰り返し、ときに自分の無力さに打ちのめされながら、「先生」はもがく日々を送っている。
2020年春、そんな毎日が一変した。新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる異例の臨時休校措置。多くの自治体で休校期間は5月まで続いた。課題となったのは、いかにして子どもたちの学びを保障していくかということ。家庭学習やオンライン授業など、さまざまな試みが行われた。
「また臨時休校になるかもしれない」「いつ臨時休校になっても、子どもたちが安心できるように準備をしておかなくちゃ」。「先生」は、いまも試行錯誤を重ねながら学校を守っている。
「先生」と呼ばれるプレッシャー、多忙な働き方、新型コロナ対策など、つらいことも不安なこともある。それでも、やっぱり「先生」は「素敵な仕事」なのだという。
「『私って教員に向いていないのかな』と悩んでいる先生には、『そんな日もある。そんな日もあるよ』と肩に手を置いて、気持ちを軽くしてあげたい。『先生って大変だね』と思っている人には、『ええ、そりゃもちろん。でも、大切なことをたくさん知ることができるよ』と先生の仕事の素敵さを知らせたい。『せんせい、げんきにしてる?』と気にしてくれている子どもたちには、『あなたに会えたから、わたしは今日も生きているよ』と全身で感謝を伝えたい――」
いまごろ、4月からどんな先生、どんなクラスになるだろうと、子どもたちは期待と不安を感じていることだろう。それは「先生」も同じのようだ。
usaoさんが「教員のみなさんへ向けた本」とする本書は、1日1日をがんばり続ける「先生」にとって、ほっと一息つけること間違いなし。この時期、ぜひ読んでほしい一冊だ。
■usaoさんプロフィール
1991年大分県生まれ、福岡県在住の小学校教員。講師を4年経験し、教諭となり現在3年目(2021年3月現在)。Twitterに不思議な生き物「うさお」が登場する「usao漫画」や日常生活を描いた「なんでもない絵日記」を掲載。Twitterフォロワー数は約7万人。著書に『usao漫画』『usao漫画2』『なんでもない絵日記』(以上、扶桑社)がある。
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