2021年3月3日、第71回芸術選奨の受賞者が発表され、『鬼滅の刃』の作者、吾峠呼世晴さんがメディア芸術分野の新人賞を受賞した。
芸術選奨は演劇、映画、音楽、文学など11の芸術分野で優れた業績を上げた人や、新生面(新しい分野)を開いた人に贈られる賞で、文部科学大臣賞(大臣賞)と新人賞がある。
吾峠さんの贈賞理由は以下の通り。文化庁ウェブサイトで公開されている。
破格の単行本売り上げや映画の興行収入新記録を達成した「鬼滅の刃」。愚直なまでに優しい主人公と献身的な仲間たちが理不尽な絶望を乗り越える姿は、困難な現今(げんこん)に生きる人々の心を燃やした。「週刊少年ジャンプ」のモットー「友情・努力・勝利」を体現し、マンガとアニメを軸に社会現象と化した本作は、メディア芸術分野の歴史にふさわしい厚みと現在性を兼ね備えている。誰よりも次回作が待望される吾峠呼世晴氏に、敬意と激励を込めて贈賞する。
文学分野では、朝井まかてさんが『類』で大臣賞を受賞した。森鴎外の末子として生まれた森類の生涯を題材とした作品だ。下記のような理由から、ほぼ満票に近いかたちで受賞した。
生き生きとした筆遣いで見事に叙述された優れた小説作品である。文豪を父として持ちながら、高望みしない質素な人生をおくった類の、ひそかな愛や苦悩を、資料に基づきつつ、豊かな想像力と熟練した語り口で浮かび上がらせ、読者の共感を呼ばずにはいない。
同じく文学分野の新人賞は、『ポラリスが降り注ぐ夜』の著者、李琴峰さんが受賞。贈賞理由には、「新宿二丁目のバー、ポラリス。そこに集う人々の姿を通して、鮮烈な愛のかたちを『複数形』で描き出した。(中略)台湾からやってきた作者は力強い筆遣いで、内向しがちな現代日本の小説に清新な風を吹きこんだ」とある。
なお、今回の芸術選奨は、大衆芸能の分野で宮本浩次さん、米津玄師さんらが受賞したことでも話題を呼んでいる。
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