植西聰(うえにし あきら)さんの『「折れない心」をつくるたった1つの習慣』は、68万人に読まれて10年になる。
時代は大きく変わり、植西さんは「なんとなく、世の中全体に不安感がまん延している」「令和の時代にはますます『折れない心』が求められる」と感じている。
本書『前を向く力を取り戻す 「折れない心」をつくるたった1つの習慣』(青春新書プレイブックス)は、2011年に刊行されたものの「新版」。時代の変化に沿う内容を新たに追加している。
「心が折れやすい人には、マジメな人や、優しい人が多いのです。(中略)今でも十分に魅力がありますが、もし、もっと心を強くしたいなら、そのための方法がある。考え方を少し変えるだけで、生きることがずいぶんとラクになる」
植西さんは学習院大学卒業後、資生堂に勤務。独立後、「心理学」「東洋思想」「ニューソート哲学」などに基づいた人生論の研究に従事した。1986年、20年間の研究成果を体系化した「成心学」理論を確立。人々に喜びと安らぎを与える著述活動を開始した。
「心にもストレッチが必要です」――。本書は、折れやすい心を鍛え、打たれ強い自分になるための習慣を紹介している。新たに追加した1・2章は、コロナ禍を生きるヒントにもなる。
1テーマにつき2ページの構成。91のテーマが並ぶ。帯に「1テーマ・1分」「"いまの自分"にぴったりのページが必ず見つかる!」とあるとおり、その日気になったテーマをつまみ読みしてもよさそうだ。
1章 「いつ光が見えるか」がわからないとき
2章 「負のスパイラル」から抜け出せるコツ
3章 心を折っているのは、じつは自分だった?
4章 なぜ折れやすいのか、意外な原因を知る
5章 無理にポジティブにならなくていい!
6章 自分の中の「へこたれない心」を呼び覚ます
7章 ちょっとヘコんだときの確実なヒント
8章 立ち直れなさそうな心に効くメニュー
9章 「視点」をシフトすれば人間関係に強くなる!
10章 すぐ折れない心をつくる新しいアプローチ
11章 「折れない人」になる言葉の使い方
根本にあるのは、たった1つ。「考え方を少し変えるだけで、人はこんなに大きく、自分でも驚くくらい変われる」という「真実」なのだという。
そもそも「心が折れにくい」のはどういう人か。こんな例を挙げている。
同じ上司が、AとBに対してミスの多さを注意した。
すると、Aは「申し訳ありません。これから注意します」と言って少し反省した様子を見せたあと、またいつもの様子に戻った。一方、Bは謝ったあともずっと思いつめた様子で、翌日会社を休んだ。
これは、同じことを言われても受け止め方は人によって全く違う、ということを表している。つまり、「心が折れやすい人」は「細い枝のように、傷つきやすく、一度傷つくと、なかなか元の元気な状態に戻りにくい人」なのだという。
「どちらが人生を楽に楽しく生きやすいかといえば、それは傷つきにくい人、他人の言葉にあまり気持ちを左右されない人だといえるのではないでしょうか?」
本書が気になった人はおそらく、自分はどちらかといえば「心が折れやすい」と感じているのだろう。
もちろん、どちらが良い・悪いではない。ただ、「折れない」まではいかなくとも、できれば「折れにくい」ぐらいにはなりたいと思っているのではないだろうか。
そんな人は、本書の「心が折れやすい人」の特徴を読んで、自分の感じ方・考え方の傾向に気づき、「心が折れにくい人」になるための習慣を1つずつ取り入れてくといいだろう。
ここでは、「『マイナス』を引き寄せていませんか?」と「言葉をプラスに変えるすごい効果」を紹介したい。
人の心に渦巻くエネルギーは、大きく分けると「プラス」と「マイナス」の2種類。プラスが多ければ打たれ強く、マイナスが多ければナイーブで傷つきやすくなるという。
ここで注意したいのは、マイナスのエネルギーが多い人はマイナスの出来事を引き寄せやすくなる、ということ。
「傷つきやすい自分を卒業し、打たれ強い自分になるには、心にプラスのエネルギーを増やし、心を鍛えていくしかないのです」
へこたれない自分になるには、「心にマイナスのエネルギーが増える習慣を捨てる」と同時に「心にプラスのエネルギーが増える生活スタイルを取り入れる」ことが大切になってくる。
そこで、最も効果的な習慣として植西さんがすすめるのが「自分の使う言葉を変えること」。
たとえば、以下の2つからどんな印象を受けるだろうか。
「この薬を使うと、90%の確率で死にます」
「この薬を使うと、10%の確率で助かります」
同じ意味のことを言っているのに、前者は毒薬に、後者は良薬に聞こえるのではないだろうか。この法則を利用して心にプラスのエネルギーがわいてくる言葉を使っていると、「折れにくい心」に近づいていけるという。
「今は落ち込んでいる人も、来年の今頃は、いつも明るい気分ですごしているかもしれません」
長引くコロナ禍、ここ最近「負のスパイラル」に陥っているな......という人も、本書を読めば心の荷がフッと軽くなるだろう。
当サイトご覧の皆様!
おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!
広告掲載をお考えの皆様!
BOOKウォッチで
「ホン」「モノ」「コト」の
PRしてみませんか?