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定番料理こそプロに学ぼう! いつもおいしい「ウチの味」を決める黄金比

 豚の生姜焼きの味がどうも決まらない。というより、決まっていない。おろし生姜1かけ分に酒としょう油、みりん、以上! だけど毎回、味が違う。今日のはおいしくできたと思っても、再現できないのだ。「目分量」が定まらないのが問題なのだろう。

 レシピを見ないで作れる定番料理ほど、定番の味がしないという矛盾。そろそろ「ウチの味」を確立したい。家族にも毎回「おいしい!」と言わせる黄金比を知るには、「この人のレシピにはハズレがない」というプロの料理研究家のやり方にならうのが近道だ。

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画像は、「藤井恵 繰り返し作りたい定番料理」(主婦の友社)

 料理家生活20周年を迎えた藤井恵さんの近著、「藤井恵 繰り返し作りたい定番料理」(主婦の友社)では、藤井さんが家族のために繰り返し作ってきた定番料理の味つけの極意を紹介している。

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画像は、「藤井恵 繰り返し作りたい定番料理」(主婦の友社)より

 大学時代から基本の家庭料理を作ってきたという藤井さん。新作のレシピも学生時代に習った「調味パーセント」という考え方に基づき、味つけをしているという。数字であらわすことによって、誰でも同じ味の料理を作れる。

 調味パーセントとは、調味料の分量を、材料の重さに対する割合(%)であらわした数値。料理の味を大きく左右する塩分や糖分は、調味パーセントを考えて計算する。塩分の調味パーセントは、人間の体液の塩分濃度と同じ約0.9%を基準に調整する。糖分は、料理や好みで幅があり、甘さ控えめで糖分2%、甘めなら5~6%。この数値をベースに試作を繰り返し、ベストな味を模索しているのだとか。

 むむむ、難しそうだが、例を見てみよう。たとえば、きんぴらごぼう。毎回なんとなくそれっぽい味にはなるのだが、味が濃かったり甘みが足りなかったり、「ウチの味」が決まらないレシピの代表格だ。

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画像は、「藤井恵 繰り返し作りたい定番料理」(主婦の友社)より、きんぴらごぼうの「調味パーセント」

 藤井さんの「調味パーセント」は、塩分1.2%、糖分4%。ごぼうとにんじんが150g。調味パーセントは、重さに対しての割合を考える。ごぼうとにんじん150gに対し、塩分1.2%ということは、1.8gの塩が必要だ。次に、塩の分量をしょうゆに換算する。しょうゆ小さじ1は塩分0.9g。だから、必要なしょうゆの分量は、小さじ2。同じように考えて、糖分4%ということは、6gの砂糖が必要。砂糖小さじ1は糖分3g。だから、砂糖の分量は、小さじ2。

 ...なんかちょっと難しすぎるんですけど...?

 と、記者と同じようにくじけそうになった人もご安心を。もちろん、理論をきちんと理解しておくにこしたことはないが、要は分量に対しての割合を考えれば、家にある食材で同じ味つけが再現できるようになる。きんぴらの場合、酒:しょうゆ:砂糖で3:1:1と覚えておけばいいわけだ。これを具材の重さに合わせて調整する。

 同じように、「生姜焼きの味が決まらない問題」は、次の割合で解決だ。

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画像は、「藤井恵 繰り返し作りたい定番料理」より

 白いごはんのおかずとして食べる味つけとして、塩分濃度は1.5%。調味料は、しょうゆ3に対して、みりん、砂糖が各1と覚える。なるほど、砂糖をみりんと同量入れるとあの甘辛味が決まるのか。しょうが「1かけ」もいつも大きさ違うからなぁ...と反省。

 続いてハンバーグ。今までパン粉と牛乳の割合も適当なら、卵のサイズもMだろうとLだろうと気にせず加えていたのだが、おいしく作るための黄金比率はこちら。

 
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画像は、「藤井恵 繰り返し作りたい定番料理」より

 肉の重さに対して、玉ねぎ35%、牛乳15%、卵15%、パン粉10%、塩0.5%、だそうだ。

 本書では、これら普段の料理のほかにも、おせちや節分、ひな祭りなど、行事のときの藤井家の「定番料理」を紹介している。

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写真は、藤井家のおせち。家庭で作ると、塩分や糖分を調節できて、食べ飽きない

 さらに、娘さんが小さかったころ、アレルギーのある友だちと一緒に食べられるようにと作っていたおやつも。混ぜて焼くだけなので初心者でも気軽に作れそうだ。

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写真は、卵なし、牛乳なし、砂糖なしの簡単おやつ

 出版にあたり、藤井さんは次のようにメッセージを寄せた。

「この本で紹介しているのは、私が家族のために作ってきた料理ばかりです。目新しいものはありませんが、この本で紹介する料理が作れたら、家庭料理は十分。私は家庭料理にたくさんのレパートリーはいらないと思っています。それよりも、これをおいしく作ったら、家族が喜んでくれる、安心してくれる、自分も嬉しい料理を作れることが大切」

 お母さんの作る料理で一番好きなのは?と聞かれて、子どもが迷わず「これ!」と答えられるように、藤井さんの「調理パーセント」を手本に「ウチの味」を確立していきたい。

【目次】
第一章 和食
第二章 洋食
第三章 中華
第四章 季節の行事食
第五章 簡単おやつ


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