夏休み中の大学生にお勧めしたい本がある。といっても、教科書的な学問の本ではない。
作家の小野寺史宜さんが2019年5月に発表した『ライフ』(ポプラ社)の主人公は、大学卒業後に就職した会社を2年で辞めた後、アルバイトを掛け持ちしながら生きる27歳だ。
さまざまな隣人とのふれあいや、家族との関係の中で、主人公が自分の正直な気持ちや価値観に気づき、人生を前へと進めていく。
誰しも「やりたいこと」はすぐには見つからない。定職についての価値観を小野寺さんに聞いてみた。
「いつの時代も3割程度の社員は3年以内に会社を辞めると聞きますし、無理して定職に就く必要はないと思っています」
「今回の主人公、幹太(かんた)は、2回転職しています。会社を辞めるという事は、後ろ向きの面もありますが、躓いた時に、すぐ、次に向かう。立ち止まらないようにすることが大切だと思っています」
「しかし、次に行ったものの、そこで、『やっぱり、あれあれ』と糸が切れたように立ち止まってしまう。そういう部分が、今回、書きたかったのです」
「仕事が人生」とは思わない生き方をするにせよ、人生と職業の選択は、切り離すのは難しい、けれど選択の時は誰しも訪れる。小野寺さんは言う。
「(大学を卒業する)22歳までに、自分の道を決められるのでしょうか」
本作の終盤で主人公の幹太が、正社員ではないが、やりがいのありそうな会社の若干名の募集情報を目にする。そして「惹かれた。若干名に入りたい」と思うシーンがある。ここに至るまでの幹太のさまざまな歩みや出会いは本作をご覧いただきたいが、これから自分の道を決めていく学生の皆さんには、すぐ近くにいる存在として幹太の葛藤や決断はきっと参考になるのでは。
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