こんな人がいる。
自分自身は「努力をしている」と思っていても、なかなか成果が出てこない。
一体なぜ成果が出ないのか分からない…。
こういう場合、努力や学習の方向性を間違えてしまっていることが多い。「とりあえずやっている」という気持ちが満足につながり、その努力が本当に正しいのか振り返られていないのだ。
こんなとき、どうすればよいのだろうか?
解決方法として、「学習の方法を学習する」ということがあげられる。
A:教科書や参考書を最初から順番に勉強していく
B:学ぶべき箇所や取り組みやすさを考えた上で、順番を決めて学ぶ
A:一人で黙々と勉強をする
B:一緒に取り組む仲間を作り、苦手なところを教え合いながら勉強する
A:答え合わせをして終わる
B:答え合わせをした後に、間違った問題をもう一度自分の力で解く
ここに並べたAとBのうち、高いパフォーマンスを出せるのはBである。学習の内容よりも、まずはどのように学習すべきかを抑えることが大切になるのだ。
■学習の仕方を学習する…「ダブルループ」をいかにやっていくか
『ひとつ上の思考力』(クロスメディア・パブリッシング刊)の著者であり、事業変革パートナーの肩書きを持つ安澤武郎氏は、自分の学習スタイルを自覚し、さまざまな選択肢の中からもっとも効果的なスタイルを選択すること、そのような作戦を持って取り組んでいる学習方法を「ダブルループ学習」と呼んでいる。
学習には何かしらの目的があるはずだ。仕事で成果が出るようになるため、テストで良い点を取るため…。しかし、その方法が間違えていれば、効果が出ないのは当然だろう。
大事なことは「答え」を暗記するのではなく、「解き方」を身につけることだ。
とある営業マンが、「協力者たる第三者が口利きをしてくれたこと」で契約が取れるようになったとする。もちろん、この方法は営業マンにとって大きな武器になるが、一方でただ「答え」の一つを丸暗記しただけでは発展性がない。同じ方法は他の取引先には通じないかもしれない。
次に考えるべき部分は、「なぜ、協力者の口利きは効果があったのか?」ということだ。
口利きする人、伝えてもらう内容、紹介の方法…。ロジカルシンキングの「ロジックツリー」を使って構成要素を分解していくことで、「答え」の裏にある公式を見つけ出すことができる。
仕事は相手がいて成立するもの。自分の提供できるものが、相手の要件と一致しなければ、ムダな仕事になってしまう。
「仕事の受け手が求めているはたらきは何か?」を見誤らないためにも、フレームワークを自分で作り、求められていることを適切に提供していくことが大切なのだ。
■これからの時代を生き残るために、仕事の精度をいかに高められるか
人は基本的に経験から学ぶ生き物である。しかし、経験から法則を見出し応用できなければ、同じ経験則をただ繰り返すのみで、すぐに立ち行かなくなるのは自明だ。
しかし、学習の仕方さえ覚えていれば、目的に近づくために精度が高い努力を積むことができる。『ひとつ上の思考力』で安澤氏が主張するダブルループ学習は合理的かつ、生産性の高い方法といえる。
ちなみに、この記事でも「目的」と「目標」の2つの言葉を使っているが、その意味は明確に違う。本書の定義を参考にするなら、目的は目指している方向の先にあるもの、目標は具体的な数値(成果)として設定をする通過点と考えておくといいだろう。
目的…営業力のレベルを上げる
目標…相談を30件受ける
このような感じだ。
ここ最近、日本人の「生産性」の低さについての議論が活発になっている。
確かに「生産性」が低いのだろうが、何をもってして「生産性が高い」「生産性が低い」と言えるのだろうか? もし、その定義を問われた時に、迷ってしまった人は本書を参考にしてみてほしい。
(新刊JP編集部)
『ひとつ上の思考力』(クロスメディア・パブリッシング刊)