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「国家の矛盾」高村正彦、三浦瑠麗著

  平和安全法則の議論で中心的な役割を果たした自民党の重鎮と売れっ子政治学者の対談。平和安全法制は「戦争法案」などと呼ばれたが、自民党の姿はむしろ過剰なくらいに抑制的だ。従来の憲法解釈を尊重し、公明党にも気を使い、「ギリギリ合憲」のナローパスを通そうとしたのがよく分かる。
 また、本書で語られる日本外交の姿も、「日本はアメリカの属国」という通俗イメージを裏切る。高村外務政務官(後に外相)が最初に行こうとした国はミャンマー、キューバ、イランで、水面下ではアメリカとも相当やりあっている。ただ、「日米安保は堅固である」というメッセージを発するために、やりあっているところは外に見せないのだ。
 憲法9条と日米安保に引き裂かれた戦後日本の安保論議の「不健全さ」を訴える三浦氏と、「現実の中でできること」を考える高村氏の対比が絶妙で、読みでがある。 

書名:国家の矛盾著者:高村正彦、三浦瑠麗発行:新潮新書定価:780円+税

夕刊フジ

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