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「貧困と地域」白波瀬達也著

  生活保護受給者の増加、社会的孤立の広がり、身寄りのない最期などは、どれも今後の日本が直面する課題だ。貧困をめぐる報道が多くなされ、「多死社会」と呼ばれる高齢化の現実もこの国に重くのしかかっている。そうした社会問題が集中的にあらわれているエリアとして、大阪のあいりん地区(釜ヶ崎)が挙げられる。かつては「日雇労働者の町」と呼ばれ、高度経済成長期に頻発した暴動で注目を集めた。
 現在は高齢化が進むなか、「福祉の町」として知られている。また、橋本徹前大阪市長が打ち出した西成特区構想とそれにともなう再開発に関して多くの議論がなされたことを記憶している人も多いだろう。本書は、福祉や宗教を専門とする社会学者が、十余年間あいりん地区と関わり、歴史的背景や実情をまとめたもの。その成果は、全国の地域社会やコミュニティーを考えるうえでも役立つことは間違いない。 

書名:貧困と地域著者:白波瀬達也発行:中公新書定価:800円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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