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「二十世紀酒場二 東京・さまよいはしご酒」多田欣也 絵・文

  昨年刊行の第1集「東京・さすらい一人酒」からおよそ1年、その間にも古き良き酒場は予想以上の早さで姿を消している。
 店主の高齢化と街の再開発。本書で紹介される、呑兵衛の心をくすぐる粋な大衆酒場は、もっともそのあおりを受ける。今日もどこかで、地元の名店がひっそりとのれんを下ろしている。
 自分にできる形で名店の姿を残したい、この本の端緒はそんなところにある。著者は趣味の街歩きをしながら、自分の嗅覚で発見した下町の酒場で自ら杯を傾け、カウンターから眺めた店内のにぎやかな風景と酔客たちのささやかな喜びを描き続けた。
 第1集では気丈に酒場論を語っていた著者も、酔いが回り、はしごを重ねて、最後は見事なぼやき酒となる。まさに呑兵衛が未来の呑兵衛に向けてカウンターの隣でつぶやいているような不思議な本である。 

書名:二十世紀酒場二 東京・さまよいはしご酒著者:多田欣也 絵・文発行:旅と思索社定価:1300円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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