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「現世(うつしよ)怪談 招かざる客」木原浩勝著

  怪談はホラーなのか? 確かに最近の怪談といえば恨み、呪い、憎しみから起きる恐怖一辺倒の物語が多いように見受けられる。
 だが100年以上も前に、怪談を世界に広めた小泉八雲は、子育て幽霊を描いた「飴を買う女」という話を「母の愛は、死よりも強いのである」と結んでいる。彼は恐怖を通じて、愛情、絆、人の営みを描いてきたのである。代表作「雪女」や「耳なし芳一」もしかり。
 その八雲の志を今に受け継ぐのが本書。著者は「新耳袋」「久十九怪談」でブームを巻き起こした実話怪談の第一人者だ。
 渋谷の繁華街で「帰ってこないで」と言い残し、一瞬にして目の前から消えた母、死者からのいたずら電話など日本各地で収集された21の実話が収められている。どの話も恐怖にとらわれるが、読み終えると胸が熱くなる。日々の生活で忘れつつある大切な何かに気づかせてくれる作品だ。 

書名:現世(うつしよ)怪談 招かざる客著者:木原浩勝発行:講談社定価:1200円+税

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