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「新選組 粛清の組織論」菊地明著

  殺した敵は26人、粛清した同志は40人。幕末を駆け抜けた漢(おとこ)たちには、表に出ない内部粛清の歴史がある。司馬遼太郎の『燃えよ剣』などの小説から入った人の多くは、近藤勇や土方歳三ら“新選組内の勝者”のファンなのではないだろうか。
 一方で彼らは鉄のおきてを作り、厳しく隊内を取り締まっていた。食い詰め浪人を最強組織に育て上げたのが、世にいう「局中法度」と呼ばれるものだ。脱走や金策は厳しく処罰され、切腹に追い込まれている。本書ではその40人にスポットを当てて論じている。
 そこには近藤勇グループが覇権を掌握していくという過程が含まれており、粛清された大幹部である芹沢鴨、山南敬助、伊東甲子太郎らは、「新選組の敵」として描かれがちである。本書は“粛清された敗者”の視点、そして幕末動乱期の思想変化という視点を加えて、新しい新撰組論に挑戦している。

書名:新撰組 粛清の組織論
著者:菊地明
発行:文春新書
定価:820円+税

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