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「老父の誘拐」小川征也著

  官僚出身で、妻は資産家の娘、次期総理候補の呼び声も高い政治家、橘一馬。派閥議員の不祥事対応から、恋人との逢瀬までこなす日々だが、ある日、一馬の父で、75歳の元高校教師、雄作が誘拐される。
 誘拐とはいえ、どこかとぼけた犯人とのマンション暮らしで、行動監視にいらつきながらも飄々(ひょうひょう)と過ごす雄作。一方の一馬は、父を気遣ってこなかったことを悔やみ、さらに要求を明らかにしない犯人一味に翻弄される。
 誘拐犯の狙いは何か。金と権力、政治、そして家族とは―。ドタバタはないが、雄作、一馬それぞれの犯人との駆け引き、父子、一馬と恋人、直子の関係も魅力的で、物語に引き込まれる。上質な舞台を見ているようで、読後感もすがすがしい。
 議員秘書、弁護士の経歴がある著者は、雄作と同年代。物語が味わい深くなるわけだ。

書名:老父の誘拐
著者:小川征也
発行:作品社
定価:1600円+税

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