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「一九四四年の大震災」西村京太郎著

  異色の十津川警部シリーズである。発端は東京・調布の3階建てビルの火災現場。建物には「フジタ浜名湖地震津波研究所」の看板が掲げられていた。藤田武所長が自らガソリンをまき、火を放った覚悟の自殺だった。ビルの外では、妻の美里が放心したように燃え上がる炎を見つめていた…。
 残された膨大な資料から、武の祖父・徳之助、父・謙太郎と3代にわたる地震研究の軌跡が明らかになる。終戦間近の静岡・浜松を拠点に、地震の巣といわれる東海の巨大地震を研究し、周囲に警告を発し続け、特別高等警察に迫害され続けた3代の執念の歴史だった。警告通り、1944年に巨大地震が起きるのだが、米軍との本土決戦の前に、まったく無視され、藤田親子は非国民としてののしられながら、祖父は鉱山へ徴用にとられ強制労働、父は沖縄の最前線送りとなる。
 そして、戦後70年、親子3代の復讐(ふくしゅう)劇が幕を開けた。

書名:一九四四年の大震災
著者:西村京太郎
発行:小学館
定価:810円+税

夕刊フジ

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