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「バタフライ」平山瑞穂著

  身体を求めてくる母の再婚相手に本気で死んでほしいと願う女子中学生。妻に先立たれて時間を持て余し、最近の若者の言動にいらだつ初老の男性。派遣切りに遭ってネットカフェで暮らし、所持金が2000円を切った三十過ぎの男性。いわゆるブラック企業に勤め、上司からの理不尽な罰則を甘んじて受け続けるOL…。
 本書では、ままならぬ日常を生きる全く無関係だったこれらの登場人物たちが、些細(ささい)なことから接点を持ち始める。わずかな変化が離れた場所で大きな変化を呼ぶのかを問う、いわゆるバラフライ効果を現代の人間関係にあてはめている。
 過程の接点がもたらす変化は小さくても、静かにおのおのの背中を押す。人のつながりが希薄になったといわれるいま、孤立無援の苦悩を乗り越えるには、それでも誰かの力が必要で、出会いは案外身近にあるのかもしれない。そんな思いを抱かせる社会派群像劇。

書名:バタフライ
著者:平山瑞穂
発行:幻冬舎
定価:1500円+税

夕刊フジ

産業経済新聞社発行が発行する、首都圏・近畿圏を中心に販売されているタブロイド判夕刊紙。ターゲットは30代~60代を中心とした都市型男性ビジネスマン。 WEB版は「ZAKZAK」(http://www.zakzak.co.jp/)で、紙面と同じ記事だけでなく、WEBオリジナルの記事も人気。 書評は毎日掲載しており、紙面ではこのコラムで掲載されたもの以外も読むことができる。

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