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「吉田松陰」 井崎正敏 著

  昨年末以来、書店の店頭をにぎわしているものに吉田松陰関連本がある。NHKの大河ドラマ『花燃ゆ』を当て込んだ一群である。が、そのなかで唯一キラッと光る1冊を見つけた。著者は著名な元編集者。目利きぶりは、つとに有名だが、文筆家としてもその才能をいかんなく発揮している。
 大学の卒業論文に松陰を取り上げて以来、こころのどこかで引っかかっていた、松陰が考え、生きた軌跡を追体験することの意味を1度はっきりさせようと書き下ろしたのが本書である。
 松陰の本質は書き残されたものにしかないと喝破する著者は、エピソードでその生涯を描くのではなく、彼の書いた原典を読み解くことで、思想家を現在に生き返らすことに成功した。これが本書の特色だ。
 後世の史家は、松陰評伝の代表作家として明治の徳富蘇峰、昭和の奈良本辰也とならんで平成のこの著者の名を挙げるに違いない。

書名:吉田松陰
著者:井崎正敏
発行:言視舎
定価:2700円+税

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