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「さわらびの譜」 葉室麟著

  『蜩(ひぐらし)ノ記』で直木賞を受賞し、いまもっとも脂が乗っている時代小説作家の最新長編。
 舞台は、山間にある扇野藩。以前、出奔した故郷に戻る剣士の闘いを描いた作品『散り椿』でも舞台となった、ファンにはおなじみの藩だ。藩の重臣、有川家は代々、日置流雪荷派の弓術を伝えているが、当代の将左衛門には男子がおらず、才気煥発(かんぱつ)な長女の伊也に弓術を仕込む。伊也は今や、藩随一の弓上手、樋口清四郎と競い合うほどの腕前に成長、「弓矢小町」と呼ばれる。2人はひかれ合うが、清四郎の弓術が他流派であったため妹の初音が清四郎のいいなずけに。
 しかし、「通し矢」の稽古をめぐって伊也と清四郎との間にあらぬ噂が流れ、汚名をそそぐため伊也は清四郎との立ち合いを申し出る。その裏には藩の派閥争いが潜んでいた。自分は何のために闘うのか。その高潔な志がすがすがしい、爽やかな青春時代小説だ。

書名:さわらびの譜
著者:葉室麟
発行:角川書店
定価:1575円

夕刊フジ

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