読むべき本、見逃していない?

SNSにもうついていけないと思ったのはいつ?

  • 書名 SNS変遷史
  • サブタイトル「いいね!」でつながる社会のゆくえ
  • 監修・編集・著者名天野彬 著
  • 出版社名イースト・プレス
  • 出版年月日2019年10月15日
  • 定価本体920円+税
  • 判型・ページ数新書判・325ページ
  • ISBN9784781651187

 mixi、Facebook、Twitter、Instagram、LINE......。誕生からわずか15年あまりで広義のSNSは社会のあり方を大きく変えた。その前史には2ちゃんねるのような巨大掲示板、メルマガやブログのような個人発信のツールがあった。SNSの変化の歴史の裏にある「いいね!」の承認欲求やシェアの心理に迫ったのが本書『SNS変遷史』(イースト新書)である。

外部からは見えづらくなったSNS

 著者は電通メディアイノベーションラボ主任研究員の天野彬さん。若年層のメディア行動やSNSの動向にかんする研究をしている。著書に『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点』(宣伝会議)などがある。

 天野さんはこれまでに3つのフェーズがあったと説明する。

 1 パソコン通信から掲示板、個人サイトの時代
 2 発信のハードルが下がったものとしてのブログや前期SNS
 3 スマホ普及とともに人と人との関係性が前面に出て、よりマイクロ化・手軽化・分散化した後期SNS

 2から3への間には断絶があり、「SNSにはもうついていけない」感が生まれたという。数や種類が増え、コミュニケーション量が爆発的に増加したことで、外部からは見えづらくなってしまったのだ。

 第1章「SNSの現在地」で、各アプリの国内MAU(月間ユーザー)数を挙げ、フェイスブック2800万人、ツイッター4500万人、インスタグラム3300万人、LINE8000万人という数字を紹介している。日本では若者に人気のあるツイッターやインスタグラムに勢いがあるのが特徴だ。

 「変遷史」の内容通り、以下、第2章「SNS黎明期」第3章「SNS拡大期」、第4章「SNS定着期」と展開している。

 NECのPC98シリーズでパソコンにさわった評者のような世代には、とりわけ「黎明期」の分析が面白かった。2ちゃんねるが生み出したネットカルチャー、グーグルが検索エンジンの世界的なデファクトスタンダードとなり、ネットサーフィンから「ググる」への変化などだ。

 その一方で、疎外感を感じながら読んだのが、2004年に誕生した日本発SNSの「ミクシィ」の項だ。初期においては招待制だったこともあり、若者中心に広がった。「なんか、ついていけないなあ」と思った人も多かっただろう。

 2006年ツイッターが創業。「なう」の2文字がツイッターの象徴となった。リアルタイムウェブの方向にシフトしたのだ。

 そしてフェイスブック。実名で社会的なポジションを背景にしていることから、さまざまなサービスの中での承認プラグインとして使われたことも普及の要因だと、天野さんは見ている。ネットワーク効果によって、現在では世界で24億人のMAUを持つようになった。

 フェイスブックの親指を突き立てたマーク、つまり「いいね!」は、2000年代最高のイノベーションの一つだと、天野さんは評価する。最も手軽な承認欲求を満たす装置だったからだ。

有料の「マッチング・アプリ」

 「拡大期」に入ると、スマホがサービスの覇権を変えた。「マッチング・アプリ」という出会い系が普及。アメリカ発のTinderというアプリは月額500~1000円と有料だが、500万人近い有料会員がいる。

 天野さんは多くが無料&広告モデルで運営されているSNSの世界において、ユーザーにサービスの対価を支払わせるという離れ業を成し遂げている点で、言及せずにはおられないとしている。

 位置情報の近さからマッチングする候補を選ぶCROSS MEという日本のアプリもあるという。

「ググる」から「タグる」へ

 いま、若い女性ほど、情報を探すときに検索エンジンだけでなく、SNSを頼る傾向があることを天野さんは調査で明らかにした。鍵になるのはハッシュタグだ。「ググる」から「タグる」へのシフトだ。

 なぜハッシュタグが大事なのか? 4つの理由を挙げている。

 1 情報源としての信頼性
 2 リアルタイム性
 3 スクリーンのサイズ最適性
 4 感性への訴求力

 15秒動画のショートビデオコミュニティ「TikTok」が最新のSNSのようだ。手軽で、盛れる、プチ承認欲求を充足することから急速に普及している。

 最終章で、著者はさまざまなデータから、あまり日本人はSNSを利用していないこと、デジタル不信の傾向を指摘する。

 SNSについていけないなあ、と思うオジさんにお勧めの本だ。

 BOOKウォッチでは、SNSやアプリと女性の階層性について、『露出する女子、覗き見する女子――SNSとアプリに現れる新階層』(ちくま新書)を紹介している。また、『「いいね! 」戦争――兵器化するソーシャルメディア』(NHK出版)なども紹介している。

 

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